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久々に登場したトリ博士の本と、メダカ
こんにちは、メダカ飼育担当のメダたんです。
以前著書を読んで「次もお願いします!」と思ったトリ博士。再び著書が出たので、Kindleで予約注文して配信日の朝から読み始め。ちょこちょこ空き時間に読み進め、先日読み終わりました😊
(以前読んだ本の記事です↓)
今回読んだ本は、トリ博士である鈴木俊貴さんの「僕には鳥の言葉がわかる」。前回はゴリラ博士との共著でしたが、今回はトリ博士の単著で、カラ類やシジュウカラ研究に関する科学エッセイです。
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今回、このnote記事の案内を務めるのは、先日ハクセキレイの訪問を許してしまった長寿チャレンジ水槽のメダカたち。越冬開始前の11, 12月の写真でご案内します。ちなみにトップの写真は2年前、近所のサクラに来たヒヨドリ。サクラの陰に隠れてるけど、メダたんには見えてるよー🤭
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軽井沢の森で鳥語研究を始めた著者。まずは、シジュウカラを含む小鳥たちをひたすら観察します。そして、小鳥の種類ごとに「集まれ」という意味の鳴き声があり、混群を形成する他の種類の小鳥たちにも「集まれ」と伝わっていると気付きます。
その仮説を検証するために、複数種類の小鳥の「集まれ」の鳴き声を森の中で流し、小鳥たちが集まったというデータを取ります。対照として、混群に入らない種類の鳥の鳴き声も流し、小鳥たちが集まらなかったデータも取ります。統計学的な結論を導くのに必要な数のデータを集めるため、軽井沢に滞在して、この実験をひたすら繰り返しました。
軽井沢という単語から心地よい生活環境をイメージしてしまいますが、風呂なしシャワーなし、ネズミありの山荘での長期滞在。かなり過酷だと思うのですが、なぜか楽しそう😳 新たな発見をして、それを証明するデータもゲットできたという喜びも大きいだろうけど、そもそも生き物の観察が大好きというベースが1番の要因なのかな。
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その後、①シジュウカラの巣に天敵が近づいた時、その天敵がヘビかカラスかの違いによって親鳥の鳴き声が違い、それに反応したヒナの天敵回避行動も違うこと、さらに、②ヘビを見た時の鳴き声が、感情や号令ではなく「ヘビ」を意味する言葉であり、聞き手にヘビのイメージを想起させることを、実験により証明しました。
特に②のヘビの実験では、実験手法のアイデアを思いつくのに2年、データ取りの実験に4年もかけています。コレは大変だ…
本の中には、大荷物を持って生きたヘビも抱えて軽井沢の森の中を歩く学生時代の著者のイラストが載っています。
①の発見に対して、著者が「おそるべし、シジュウカラ語の世界!」と書いているのですが、大荷物とヘビを抱えて毎日15km歩く根性も恐るべしですし、②で合計6年かけて「ヘビ」を意味する言葉であることを証明してみせたのも恐るべしです🐍
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さらにさらに、シジュウカラが2つの単語を文法通りに並べて文章を作っていることも、実験で証明します。
シジュウカラが「警戒して」と「集まれ」をこの順番で組み合わせて鳴くと、警戒しながら集まることに気づいた著者。シジュウカラ語の「警戒して」と「集まれ」の鳴き声をこの語順でシジュウカラに聞かせると、警戒しながら音源に近づきます。語順を逆にすると警戒も近づきもしない。実験を繰り返しデータを集めて、論文発表します。
そしてさらに、シジュウカラにとって初耳の文章も理解できるか、実験してみます。シジュウカラには初耳だけど文法通りで、ヒトである著者には作成可能な鳥語の文章。どんな文章だろう?著者はそのアイデアを、芸人であるルー大柴さんの持ちネタから得ます。日本語と英語を、日本語の語順で組み合わせるルー語。「集まれ」を意味する鳴き声は鳥の種類によって違い、一方で、混群を形成する別の鳥の「集まれ」をシジュウカラは理解します。シジュウカラ語の「警戒して」とコガラ語の「集まれ」の音声データをこの語順で組み合わせて、自然界にはない鳥語の文章を作り、これをシジュウカラに聞かせると… 警戒しながら音源に近づいてきました!そして語順を逆にすると警戒も近づきもしない。これも、実験を繰り返しデータを集めて、論文発表します。
以前、英語を話してて自然とイタリア語になっちゃったイタリア人に、メダたんは2回出会っています。実はメダたんは英語が苦手でして… もともと聞けてないながらも頑張って聞いていたのですが、途中から全く聞けなくなったと思ったら、実は英語からイタリア語に変わっていたという体験。言語が似ていると自然と変わっちゃうのかなと思ったのですが、そうするとルー語のようにお笑いのネタになることもなく、実験手法のヒントになることもなく、逆に日本語と英語のように言語の違いが大きいと、お笑いのネタになり、イノベーションのタネになることもあるのか、と勝手に思ったりしました😅
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この本の最後に、著者が、動物言語学という分野を新たに立ち上げたことが書かれています。その背景に、人間だけが言葉を持ち、動物は言葉を持たない、動物の鳴き声は感情表現であると、今まで決めつけられてきた事があるとのこと。遡ると、古代ギリシャのアリストテレスの著書にも書かれているそうです。
アリストテレスが唱えたことが2千年以上信じられてきたというストーリー、化学の分野でも聞いたことあります。「万物は、火、空気、土、水の四元素で構成される」という四元素説をアリストテレスは指示し、「万物は、それ以上分割できない原子から構成される」という原子論は社会から受け入れられなかったというストーリー。17世紀にボイルが四元素説を覆す実験結果を出し、その後、化学への理解は大いに進みました。
一方の、動物言語について。動物は言葉を持たないと決めつけられてきた理由の1つは、動物が言葉を持つことを今まで誰も調べてこなかったからで、だから自分が調べるんだと著者は言っています。さらに、動物も言葉を持つことを多くの一般人にも伝えようとしています。その一環として書かれたのが、今回メダたんが読んだ、この本。読み易いし、分かり易いし、面白い。トリ博士、次もぜひ、お願いします😆
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おまけ
以前、庭でヒマワリを育てて、種を取るために枯れた花だけ残して庭に並べて干していたら、黒/茶色ベースに黄色が入った小鳥の集団が来るようになり(何鳥かは未だ不明)、無くなるまで毎日ヒマワリの種を食べに通い続けていたことがありました。(我が家のひまわり栽培はそこで終了しました…)この本の最初に、著者が鳥の研究者を目指して大学に入り、研究テーマを探していた学部生のとき、ヒマワリの種がきっかけとなって鳥語研究を始めたというエピソードが出てきます。著者の観察力もすごいけど、ヒマワリの種の持つ小鳥への影響力もすごい🌻
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