意外と多い⁈小学生の便秘。つらい便秘の理由や対処法について看護師が解説。
☑️便を出す時に痛がる
☑️トイレをしたがらない
☑️排便回数が少ない
☑️お腹が張っている
☑️食欲がない
このようなお子さんの便秘にお困りではありませんか?
小学生の便秘は、ママやパパは「このまま便秘が治らないのではないか」「何をしてあげたらいいだろう」と不安になることもあるでしょう。
大切なわが子には健康に成長してほしいからこそ、心配してしまいますよね。
小学生の便秘は、成長途中ゆえの理由もあって繰り返しがち。
この記事では、子どもの便秘の理由や、改善のための解消法を紹介します。
小学生のお子さんの便秘に悩んでいるママやパパはぜひ参考にしてみてください。
🧻こどもの便秘とは
一般的には便の回数が1週間に3回より少ないか出にくいことを便秘といいます。しかし1日出なくてもお腹が苦しい子もいるなど個人差が大きいので、日数はあくまで指標です。
便の性状も大切で、コロコロうんちが少しずつしか出なかったり、出す時に痛いほどのゴツゴツうんちが続くことも、便秘です。
便秘で腸に便やガスがたまると、お腹が張って苦しがったり、食欲不振になります。嘔吐することもあります。
便秘が続いて治療が必要な状態を便秘症といいます。
便秘症のこどもは増加傾向です。
便秘が疑われる小学生の割合は16.6%と6人に1人。最も多い小学1年生の女の子では25.0%と、4人に1人です。男の子より女の子に多い傾向で、学年が上がるにつれて改善傾向がみられます。
1クラス30人いれば5人ほどのこどもが便秘症。結構多いと感じる方も多いのではないでしょうか。
私には高校生から小学生4人のこどもがいますが、みんな平日は朝に排便をしてから学校に行っているようで、なんとか排便習慣がついているようです。4人いるので朝はトイレ争奪戦で、「トイレに行っていいですかー?」とみんなに確認してから排便に行くことになっています。
便秘傾向は女の子の方が多いですが、排便にかかる時間は男の子の方が長いという調査結果があります。わが家も長男は一度入ったらなかなか出てきません!
🧻小学生が便秘をする理由
便意を感じるとお腹に力を入れていきみ、肛門を開いて便を出す。こどものこの一連の排便機能は成長途中で、小学校高学年ごろになってようやく大人並みになるといわれています。
小学生の便秘には、運動不足や食習慣、生活リズムの乱れといった大人と同様の理由に加え、以下のような成長途中であるこども特有の原因もあります。
学校のトイレに行きたくなくてがまん
遊びに夢中で便をがまん
硬くて痛いのでがまん
きっと身に覚えがある大人も少なくないのではないでしょうか?
便意をこらえると、肛門近くにたくさんの便がたまり、新しい便がおりてきても便意は感じなくなっていきます。その結果、たまっている間に便は更に硬くなっていく、という悪循環が起こります。
🧻小学生が便秘をすると何が悪いの?
こどもの便秘をどんどんこじらせると、排便機能を育てることができないため、大人になっても便秘で苦しんでしまうことになります。
私の周りにも、こどもの頃から便秘で、大人になっても便秘薬なしでは便が出ない人がいます。
大切なことは、出そうとすること。ためないこと。
こどもはまだ排便機能が未熟であり、大人並みにできなくて当然です。
しっかり排便機能が育つように、ゆったりと成長を見守りながら、排便習慣を身につけてあげましょう。
🧻小学生の便秘症の治療・対策法
それでは、小学生の便秘症に何をしてあげられるかをみていきましょう。
◆病院ではどんな治療をするの?|治療の流れ
初期に適切な治療を行えば、数日~2ヵ月で「週に3回以上快適に便が出る」状態になります。その状態を続けていると1~2年の間に便秘症が治ることも少なくありません。そのため、早期の診断と治療が大切です(「小児性機能性便秘症ガイドライン」より)。
便秘で病院…とためらわずに、心配な場合は受診しましょう。
私が勤務していたクリニックにも、便秘で受診するお子さんは1ヶ月に1人はいました。
治療の流れを、小学3年生の女の子の治療経過を例にみてみましょう。
1.まずは出す
お腹が張ってパンパン、腹痛をお母さんに訴えて受診。
診察でお腹の動きは良好。レントゲン撮影で、腸にはうんちが塊になって上の方まで溜まっているのがわかりました。
まずは、指を入れてかき出してあげる、摘便を行いました。カチカチの便をほぐしながら少しずつかき出します。
お腹をあたためる温罨法とマッサージで腸の動きを促します。
浣腸を行い、溜まった便を出します。
2.便が溜まらないように、出しやすくするお薬を処方
薬は、便を軟らかく保ち、腸の動きを 活発にするためのものです。便がつまってから飲むよりも、たまらない ように毎日飲むほうが効果的です。
排便の状況を確認しながら、薬の種類や量を調節していきます。
3.毎朝「うんちでるでる 赤ちゃんのポーズ」と、「トイレタイム」に取り組む。
・「うんちでるでる 赤ちゃんのポーズ」
→腸を刺激することで蠕動運動を促進させるので、便秘改善に効果的です。
・「トイレタイム」
→始めは出なくてもいいので、毎朝便意がなくてもトイレに座って「うーんうーん」と5回きばります。便意がなくても毎日同じ時間帯にトイレで座る時間を設けると、排便リズムができてきます。
4.3日出なかったらイチジク浣腸を家の人にしてもらう。
浣腸はクセになるものではありません。きちんと治療して「便秘でない状態」 を続けていけば、浣腸は不要になり、 薬も減らしていけることが多いです。
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これらに取り組んでいただき、初診から1カ月間は浣腸を週に1回は行うペースでしたが、2カ月後には月1回の浣腸。その後は浣腸なしでも週に4回はまとまった排便があるようになりました。便を柔らかくする薬の処方は、徐々に減らしていき、半年後にはお薬なしで隔日ペースで出るようになりました!!
朝起きてすぐの赤ちゃんのポーズも習慣になりその後も続けているとのことです。
いかがでしょうか?
治療の流れは、まずは出す⇒ お薬 ⇒生活習慣で、ためないことが大切とおわかりいただけたかと思います。
◆小学生によく用いられるお薬
病院で処方される薬と、小児にも適用の市販薬を以下にまとめました。
お子さんの排便の状況に合わせて取り入れましょう。
心配であれば病院に相談してください。
◆便秘によい食事
できるだけお薬を使わないで便秘を解消したいですよね。でも焦りは禁物です。お薬を上手に使って、気長に治療していきましょう。
とはいえ、食事は親が家庭でしてあげられる毎日のこと。無理なく、親も子も負担にならないように取り入れましょう。
食べ物
食物繊維を多く含む食品
豆類、雑穀、野菜、海藻、果物、芋類発酵食品
納豆、味噌、ヨーグルトオリーブオイル
→お腹の動きがよくなって、うんちも柔らかくなる効果があります
飲み物
りんごジュースやヤクルトなどの乳酸菌飲料は腸に良いと言われていますが、こどもが毎日飲むには砂糖のとりすぎになることや、歯にもダメージがあることを考えれば、お楽しみ程度がいいかもしれません。
水分はこまめにとるのが最前ですが、学校までついて行って声をかけるわけにもいかないですよね!必要な水分量はこどもによって違います。成長段階や性格にもよりなかなか水分をこまめにとらないお子さんもいます。水分が少ないかもしれないと気にになるようであれば、食事にお汁やスープを加えて水分をとるのもオススメです。
食べ物や飲み物がどのくらい便秘に影響があるかは実ははっきりわかっていません。「食べさせなきゃ!」「なかなか食べてくれない!」と親がしんどくなってしまっては本末転倒です。無理に嫌いなものを食べるよりも、楽しくおいしく、たくさん食べることから始めてみましょう。
◆マッサージ
先にご紹介したうんちでるでる赤ちゃんポーズに加え、腸のマッサージも動きを促す効果があります。
おへそから大きく「の」の字を書いてマッサージしてあげてください。
親子のスキンシップタイムにもなってGOOD!マッサージはされる側だけでなくする側も癒され効果があるので、ぜひ楽しんで取り入れてみてくださいね。
🧻小学生の便秘Q&A
Q. オレンジジュースっていいの?
→A. オレンジジュースに含まれるフルクトース(果糖)が便を柔らかくする効果はありますが、効果に関するしっかりした医学的根拠には乏しいことや、先に記載したりんごジュースとヤクルトと同様毎日多飲することの悪影響の方が大きいので、積極的にはオススメしません。
Q. 綿棒で肛門を刺激する方法は?
→A. 乳児では効果がありますが、小学生ともなると効果は乏しいです。ウォシュレットを勢いよくあてて刺激すると出るというお子さんもいます。
Q. アイスを食べ過ぎたら便秘になる?
→A. 甘いもののとりすぎでは腸内環境のバランスは崩れがちになります。なんでもとり過ぎは禁物。オススメは、バナナに割り箸をさして凍らせたアイスバナナです。こどもも喜んで、お腹にも優しい◎。
🧻まとめ
小学生の便秘は意外と多く、繰り返す便秘は大人になってからも影響します。
便秘になりやすい原因は、大人と同じような運動不足や食習慣などの理由に加え、小学生特有の「便意をガマンする」という行動も大きな要因です。
まずためずに出すことが一番です。
小学生ともなれば、年齢に応じたわかりやすい説明で、便をガマンするのはよくないことだと理解できるでしょう。励まし、治療を乗り越え、親子で楽しく便秘解消法を生活に取り入れることで、わが子の健やかな成長を見守っていきたいですね。
便秘に関する正しい知識を持ち、早めの対応と予防を心がけましょう。親子でコミュニケーションを取りながら、無理なく楽しく習慣づけていくことが大切です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。