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【読書感想文】松岡圭祐「ミッキーマウスの憂鬱」〜夢と現実のはざまで〜

ディズニーランドは、子どもも大人も楽しめる夢の国です。しかし、その裏側には、さまざまな人間ドラマが隠されています。松岡圭祐の「ミッキーマウスの憂鬱」は、ディズニーランドを舞台にした短編集で、そんな人間ドラマを描いています。

本書には、6つの短編が収録されています。それぞれの短編は、ミッキーマウスやピノキオなどのキャラクターに扮した俳優や、パークのスタッフや客など、さまざまな立場の人々が主人公です。彼らは、夢と現実の狭間で、自分の役割や人生について悩みながら、それぞれの物語を紡いでいきます。

例えば、「ミッキーマウス」では、ミッキーマウス役の俳優が、自分が演じるキャラクターと自分自身とのギャップに苦しみます。
「ピノキオ」では、ピノキオ役の俳優が、自分が本当に望むことを見つけるために、パークから抜け出します。
「白雪姫」では、白雪姫役の女優が、自分を愛してくれる王子様を探します。
「シンデレラ」では、シンデレラ役の女優が、自分が幸せになるためには何が必要かを考えます。
「アリス」では、アリス役の女優が、自分が迷子になったパークで不思議な出会いをします。
「ピーターパン」では、ピーターパン役の俳優が、自分が大人になることを恐れます。

これらの短編は、一見するとファンタジー的で楽しげな物語ですが、実は深刻なテーマを扱っています。それは、「自分は誰なのか」「自分は何をしたいのか」「自分はどこへ行くのか」という問いです。これらの問いは、私たち一人一人が直面する普遍的な問題です。しかし、私たちは日常生活の中で忙しくしているときや楽しんでいるときには気づかないことが多いです。本書は、私たちにそんな問題に向き合うきっかけを与えてくれます。

本書の魅力は、ディズニーランドという特殊な舞台を使って、私たちの心の奥底にある憂鬱や不安を浮かび上がらせることです。ディズニーランドは、夢と現実のはざまにある場所です。そこでは、私たちは自分の役割を演じながら、夢を見ることができます。しかし、その夢はいつまでも続くものではありません。いつかは現実に戻らなければなりません。そのとき、私たちは自分の本当の姿に気づくことができるでしょうか。本書は、そんな問いを投げかけてくれます。

本書を読んで感じたことは、自分自身を見つめ直すことの大切さです。私たちは、自分が本当に望むことや幸せになることを見失ってしまうことがあります。それは、社会や周囲の人々から期待されることや求められることに応えようとするあまりです。しかし、それでは自分は満足できないし、幸せになれないと思います。私たちは、自分の心の声に耳を傾けて、自分の夢や目標を追い求めるべきだと思います。それが、自分の人生を豊かにする方法だと思います。

本書は、ディズニーランドを舞台にした短編集ですが、それ以上に人間の心理や感情を描いた作品です。私たちは、本書の登場人物たちの憂鬱や葛藤に共感したり反省したりすることができます。そして、私たちは自分自身に問いかけることができます。「私は誰なのか」「私は何をしたいのか」「私はどこへ行くのか」という問いに答えることができますか。本書は、そんな問いに答えるためのヒントを与えてくれます。本書を読んでみてください。きっと、夢と現実のはざまで憂鬱になったり希望に満ちたりすることでしょう。

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