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3月の空気

先日、友人と食事に行った。仕事を終えたあと、二人で街に繰り出すと、どこの店も満員御礼。それは、華の金曜日というタイミングだからという理由だけでなく、3月下旬に差し掛かった今が、異動や退職や卒業といった送別にまつわる時期であることも関係しているようだった。

去年もnoteに書いた気がするが、わたしは春の雰囲気が苦手である。入園・入学・入社など新しい環境へ飛び込む者たちの期待と不安、また彼らを受け入れる者たちの慌ただしさや高揚感といった浮き立つ空気がビシビシと伝わってきて、いたたまれない気持ちになってしまう。なぜ苦手なのか、と問われると説明するのは難しいけれど、結局のところ、かつて自分がそうした新しい場所に飛び込む場面で良い経験をしたことがないという理由に尽きるかもしれない。

ただ先日感じた空気は、わたしが苦手とするこの空気とは少し違った。まだ3月だからだろう。3月は「別れ」というニュアンスが強く、4月は「出会い」というニュアンスが強い。勝手がわからない者たち同士ではしゃぐというより、親しんだ者たちがじっくり語らっているような様子が店のあちこちで見られた。だからわたしは、毎年勝手に感じる春特有の居心地の悪さを覚えることなく、街を歩くことができた。

食事の時間は楽しく、別れた後は数少ない友人の存在に改めて感謝を覚えると同時に、親しい人間の前だと輪をかけて加速する自分の口の悪さに恥ずかしさと反省をも覚えた。気をつけなければ。
ちなみに今月は、バンド活動を通じて出会った読書家の仲間たちと集まる機会があった。これも非常に楽しく充実した時間だった。
相変わらずうだつが上がらない日も多いけれど、今年の3月は良い時間をたくさん過ごせている。春の雰囲気が苦手だなんだといったことに、必要以上に振り回されすぎず、今後もコツコツと良い時間を築いていきたいと思った。

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