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それ、誰のため

昨夏辺りから、継続的に勉強本を読んではいろんなことを学んでいる。「取り寄せまくった多くの勉強本を読み終えるまで、大好きな読書は禁止」という厳しいミッションを自分に課し、年末までにほとんどの勉強本を読み終えることに成功した。達成感は大きかったし、学ぶことも多くあったけれど、集中力にはそれなりの限界があることも知る。そこで、年明けからは趣味の本を読みつつも、勉強本の読書も進める「趣味と勉強、両立読書スタイル」で勉強を続けることにした。

そんなわたしはベッドに横になり、本を読んでいる。横になりながらの読書は寝落ちしてしまう可能性が高いためあまりよくないのだけど、体が楽なのでついつい寝転がってしまう。
上から下に文字を追っていると、視界の端で何かが動いた。それは、出窓に置いてある籠から飛び出した猫の手が、パーの形に開かれるところだった。こちらから猫の寝姿は見えないが、手の形的にアレは籠の中でひっくり返って寝ているのだろう。曇りや雨の日を好む性格だったうちの猫は、今年の冬から積極的に日光浴をするようになった。そして出窓からサンサンと入る陽光が気持ちいいとき、猫はよくひっくり返るのだ。そうして、その長い手を精一杯伸ばし、パアッとすべての指の隙間を広げるように手を大きく開く。日光浴を最大限に楽しんでいるとき、猫はこの仕草をする。
籠を見つめていると、猫は何度もそうやって手を開いたり閉じたりしていた。猫の肉球は、ピンクと黒の柄が入り混じった模様でなかなかオシャレである。太陽に透かされたその肉球の様子をわたしはしばらく眺めていた。

わたしはふと、なぜこんなに勉強をしているのだっけ、と我に返る。
まず、昨年ステップアップしたいというある目標ができた。その目標達成のためにあらゆる知識を吸収しなければ、というのがそもそもの勉強をはじめたきっかけだ。また最近になり、看過できないスキル不足を痛感したため、今は仕事に還元できるスキルを身に付けるためという側面でも勉強をしている。
こんな風に理由はいろいろあるけれど、最終的にわたしの得た知識やスキルは収入アップに繋がりうるので、結局この勉強は「日々の生活を継続させるため(その中で音楽や本といったわたしの時間を充実させるため)」と言えるのだろうか。
いや、もう少し掘り下げてみよう。わたしは今の生活の中で「猫と穏やかに暮らせること」をとても大事にしている。猫には生涯のんびりと健康で一生を過ごしてもらいたいので、そのために必要と思うものは積極的に入手してきたし、今後もそのスタンスは変えないつもりだ。
ということは、大層可愛がっている猫を、この先もずっと安定的に養うために勉強していると言えるのではないだろうか。

そう思うと、気の進まない勉強本も開く気になるというものだ。こうして頑張っているのは、可愛らしい手をパアッと広げながら午睡を嗜む猫のため。

勉強をするって、なかなかいいものだなぁと思った。

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