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詩のまとめです。暗いの多め。
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記事一覧

春の訪れ

春の訪れ

外が少しずつ明るくなっていく

僕を包み込んでいた季節は遠ざかり、光が僕を刺し貫く

空は晴れ渡る。小鳥は歌う。空気は生ぬるく。

僕はまた死にたくなる

白のかけらも残さずに世界はこんなにも鮮やかだ

ねえ、どこに行ってしまったの

もう還らない季節に手を伸ばし

僕はおかしくなっていく

行かないで、呟きは消えた

さようなら愛しい僕の冬

終わり

白い景色 ひとりきり
手のひらには棘
ただひたすらに握りしめた

錆びついていく口内
世界の終わりに優しい歌
絡まる蔦をほどいていったら
きっと君に会えるといいな

どうしてだろう
悲しくないのに
涙が溢れて止まらない
とまらない

君はいない

君はいない
#詩

とげ

スキップして跳ねる石畳 ビルの群れは今日も灰色
ヘッドホンをして口笛吹いて 世界を今も遮断中

公園のジャングルジムの上 空よ落ちてこいと見上げてる
子供たちは楽しそうに走る 僕の頬には虫唾が走る

ここは怖い夢の途中 君が救ってくれたらなぁ
痛い 痛い 心に刺さった棘がもう抜けないや
#詩

自嘲行為

痛いの痛いの痛くないのを繰り返して
手首の傷は誰にも見せない

きらりきらりと光る夜の中
僕は部屋の底へ沈んでいく

明日はどこまでも僕を焼き尽くして
優しい夜を奪っていくだけなのさ

深夜2:00

焦燥焦燥焦燥
薬なんて一向に効きやしない
ただただむず痒くて
手首を引っ掻くんだ

誰か僕を助けてくれよ
誰か僕を助けてくれよ

誰か僕を殺してくれよ

短詩スタイル

ジャンク

ジャンク

虫のようにはいつくばって見上げた街
きみがそこに立っていた

右手にはだれかを殺すためのナイフを
左手にはだれかを救うための十字架を

だけどけっきょくは手をかかげただけで終わる
自己満足と自己犠牲の終着点

虫のようにはいつくばって地面を眺めた
少しずつ腐っていくきみがいる

そのナイフはきみをころさなかった
その十字架はきみを救わなかった
この街はきみをころさなかった
この街はきみを救わなかっ

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崩壊

崩壊

さよなら 僕を飲みこんで
壊れてしまったこの世界で
君は一人で立ってどこへ行くの

冷たい風が吹き抜けていく
抜けるような青い空
足元に開いた穴から
少しずつ すこしずつ 絶望が漏れてくる

カラカラと カラカラと
世界は崩れていく
崩れていく
#詩

リミット

リミット

息が出来なくて逃げ出してく
足元にぱっくり開いた穴
少しずつ神経を齧っていく不安
両手で耳を塞いでうずくまった

スピーカー
残響
聞こえない声
探せない僕

見えないなにかが指の隙間から零れ落ちてく

大丈夫と言い聞かせることで乗り越えられる夜はあといくつだ

過去詩発掘 #詩

観測所にて

観測所にて

くるくる回る
くるくる回る
夜に銀笛が鳴り響く
僕はアルビレオの端に立って
すこしだけ目を閉じて星を廻る

望遠鏡は投げ捨てた
僕を書き留める紙とペンだけ握り締めて

本当は知っていた
僕のきもちも君のきもちもなにもかも

何かが砕け散った音が高く澄んで
やさしくやさしく降り注ぐ

滲んだ世界なんて、見えないふりをしたままで

過去詩発掘 #詩

ヘテロドキシィ

ヘテロドキシィ

夜の静寂に落ちていく

青い深い夜の中だけが僕の居場所だった
ゆらゆら揺れる闇に身を浸して
膝を抱えて窓の下、星の音を聴いていた

(明けない夜はないよ、だなんて、絶望にしか聞こえない)

過去詩発掘  #詩

温室

温室

透明な螺旋の中を落ちていく

押し殺された悲鳴 生命の息づくおと
蔓延る蔦は心臓を鷲掴みにして
ああ、ここは見捨てられた廃園だ

逆さまに逆しまに漂うように落ちていく
星を紡いでいたその指先はもうここにはない

静かに揺蕩う水 心臓の蔦は花を咲かせて

さようなら、
呟いた声は水面を揺らして消えた

過去詩発掘 #詩