虫のようにはいつくばって見上げた街
きみがそこに立っていた
右手にはだれかを殺すためのナイフを
左手にはだれかを救うための十字架を
だけどけっきょくは手をかかげただけで終わる
自己満足と自己犠牲の終着点
虫のようにはいつくばって地面を眺めた
少しずつ腐っていくきみがいる
そのナイフはきみをころさなかった
その十字架はきみを救わなかった
この街はきみをころさなかった
この街はきみを救わなかった
そしてきみはきみをころした
手をかかげたままで腐っていくきみが泣いた
虫みたいな僕だけが隣で眺めてた
#詩