「元気・愛嬌・やる気」と売上
家の近くに、さびれたスーパーがありました。
価格も全体的に他店よりも高めです。
客寄せのために、キャベツ1玉10円、限定数で売り始めました。
キャベツだけをめがけて、沢山のお客さんが殺到します。
お会計を待つお客さんの列が、魚屋さんの前にもできていました。
すると「営業妨害だ!」とお客さんに向かって叫ぶ魚屋さんの店長。
売り上げが上がらなくて、魚屋さんもイラついています。
ある日、このスーパーの店長が変わりました。
いつも速足で、お店の中を見回ります。鋭い目つきです。
店長から殺気にも似た「売ったるで!」オーラが出ています。
この店長はマイクを持ち始めました。そして、歌います。
「夏も近づく、八十八夜~♪、な~んて、下手な歌なんか歌っちゃったりして。皆さん、お茶はいかがですか~?」なんだか、愛嬌があります(笑)。
ベーカリーコーナーでも、マイクを持ち凄い勢いでお客さんを呼び込みます。パンが飛ぶように売れて行きました。そして、いつの間にかベーカリーコーナーには「全店舗中、売上ナンバーワン」の表彰状が張り出されていました。
気が付けば、このスーパーのお客さんは増えていました。
お店に、活気が出てきました。もう、前とは全く別のお店の様です。
店員さんが店長のいる時だけですが(笑)、「いらっしゃいませ!」と挨拶をするようになりました(実はお客さんでなく、店長に挨拶している?)。
そんな繁盛店となったお店でしたが、店長が交代。
残念ながら、またしてもお店がさびれてしまいました。
梅干を売りに来たおじさんに「このお店、何時もこんな感じなの?」などと尋ねられてしまいました。
そう言えば、私もあまりお店に足を運ばなくなっていました。
数か月後、お店は閉店。
あのお店に行けば、元気になれる。店長は価格とは別の価値を提供していたのではないでしょうか?
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