書くことへの向き合い方。書くという手段。
大学生のとき、ミスチルをよく聴いていた。
付き合っていた彼女の影響である。
ライブにも行った。当時までに発売されていたアルバムも全部聴いた。
共感性のある歌詞や、耳に残るメロディーたちに、それはもうめちゃくちゃハマった。
当時使っていたipod nanoからも大体ミスチルが流れていた記憶がある。(古い)
そんなミスチルの楽曲に、
「あんまり覚えてないや」という歌がある。
天下のミスチルとはいえ、
この曲については
知らない人がほとんどだと思う。
超簡単に説明すると、
「聴けば100%、
過去や昔を思い返してしまう曲」
なのだ。(俺調べ)
ある日、たまたまこの曲を聴いた。
久方ぶりである。
そんなとき、大好きな祖父母との思い出が、ふっと蘇ってきた。
なんとなく一人になりたくないとき。
親との折り合いが悪くて、家にいたくないとき。
特に用事はないけど、会いたくなったとき。
どんなときでも迎えてくれて、
俺の心境を知ってか知らずか、
いつも何も言わず、何も聞かず。
そっとしておいてくれた祖父母の優しさが、当時、本当にありがたかったことを思い出した。
この思い出だけは、絶対に忘れたくないなあ。
そう強く感じた。
この本のエピローグを読んでいるときに、そんなことを思い出した。
これを読んで「大事なことを忘れていた」のを思い出したのだ。
本書は、
「書くことで生計を立てていく」ための本。
書くことのノウハウ、
どんな生活を過ごすこととなるのか、
というリアルを感じることができる。
そして、最後の最後で
「書くことへの覚悟」を試される本文が
以下のように現れる。
忘れたくないから書き留める。
そうなんだけど、書いたことで、それしか思い出せなくなっているんじゃないか。
もっと忘れたくないことが
いっぱいあったはずなのに。
俺にだって、もっともっと、祖父母との思い出はあったはずだ。
だけど、思い出せなくなることがある。
書いたことだけは記憶に残るが、書かなかったことはどうなるだろう?
この本を読んで、
書くことが特別なことになった。
言葉にすることを大事にするようになった。
書くことへの向き合い方、書くという手段について、考えさせてくれる本だった。
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