読書記録* 言葉と歩く日記
多和田葉子さんの「言葉と歩く日記」を読みました。
主に言語に関することが綴られていますが、
そのほかにもドイツや仕事先での風景、周りの方々との興味深すぎる会話など、読みながらとても豊かな気持ちになれる日記でした。
ドイツ語にしかない・日本語にしかない言葉や表現があって、その他の言語で言い換えようとするとなかなか難しい、という現象が面白いなと思いました。
外国語を知ることは母語と向き合うことにもなるんだな、と感じます。
多和田さんが紹介されていた、金谷武洋さんの 『日本語に主語はいらない』、『英語にも主語はなかった』という本もとても気になりました。
川端康成の雪国の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」を読んでみて絵を描くとしたら…という実験では、日本と他国の人たちそれぞれの視点の違いがあらわれて驚きでした。
そして、ドイツ語と日本語の両方の視点にならなくては、とミツバチになった自分を想像してみる多和田さんがこれまた素敵です。
第二次世界大戦について書かれた日記も心に残りました。
理解し合えるはずのことが、お互いの言葉が分からないことにより関係が悪化してしまうのは悲しいです。
外国語を知ることで視野が広がるのは間違いないと感じます。
知的好奇心溢れる日記でした。
今日も自分の日本語なんか変だなと思いながらも、正しいばかりが良いことではない!とも思えています。
:)