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キャクストン私設図書館/ジョン・コナリー、田内志文(訳)


ジョン・コナリー氏の短編集
「キャクストン私設図書館」
を拝読しました📖´-
(2024,9,3 読了)



読まねば読まねばと思っていた本書が、文庫化されることを知り尚更はよ読まなっ!と慌てて拝読。いつも行動が遅すぎるんだよ私。


本にまつわる4作品が収録されています。
短編集といいつつ2作品は中編で重量感のある1冊でした。
表題作の「キャクストン私設図書館」と「ホームズの活躍」は、初版本と手稿本を所属する”キャクストン私設図書館”が舞台の物語。
キャクストン私設図書館には所蔵している物語の登場人物たちが実体化して住んでいます。
そこへある男が訪ねてきて……

「虚ろな王」は、先に拝読した「失われたものたちの本」のスピンオフ。

「裂かれた地図書ー五つの断片」は、その本に触れた者に次々と怪奇現象が起きてしまう奇書の物語。


ダークファンタジーです。
特に「裂かれた地図書ー五つの断片」はなかなか残酷で最後にえー!!っとひっくり返りそうになりました。
「キャクストン私設図書館」は、こんな図書館が本当に存在したら行ってみたい……いや、恐る恐る覗いてみたい。
「虚ろな王」は、人間の浅ましさが露骨なのですが、それもまた仕方ないのかなという複雑な気持ちになりました。


世の中には真の悲しみよりも偽りの希望を選ぶ人がいるのです。

「虚ろな王」より




もし自分だったらと考えた時、これは苦しい選択だろうなと思います。偽りと分かっていても偽りの部分を見ないふりして希望だけを見てしまいたくなる気持ちが痛いほどわかりすぎる。
私はここまで苦しい選択に迫られたことはないけれど、もう少し軽い状況の中でさえ偽りの希望を選択してしまっていると思うところもあります。


全体的に物語はゾワゾワするところが多かったですが、本に関する素敵な言葉もたくさんありました。

書店や図書館とはあらゆる世界を、あらゆる宇宙を、そして一冊一冊の本に綴じられている万物を宿すものだから

「キャクストン私設図書館」より

本は愛さにゃいけません。愛してこそ、なんですから

「裂かれた地図書ー五つの断片」より

本は形あるものじゃない。言葉と概念を運ぶものなの。ひとりひとりの読者に、違う影響を及ぼすのよ。私たちの心の中に映像を焼きつけるの。そして、根をおろす。

「裂かれた地図書ー五つの断片」より



正直、ザザザーッと拝読して理解できるような1冊ではありません。じっくり咀嚼しながら楽しみたい1冊です。
また、本が傍にある人生を改めて幸せに感じることもできました。
行きつけの個人書店に文庫版を注文しているところなので、手元に届いたらまたじっくり再読したいです。



「キャクストン私設図書館」文庫化記念イベントを各地で開催してくれないかしら……
福岡の書店さんが声を上げてくれないかしら……








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