三つの名を持つ犬/近藤史恵
近藤史恵さんの著書
「三つの名を持つ犬」を拝読しました📖´-
(2024,10,23 読了)
夜宵読書倶楽部の課題作家が「近藤史恵」だったため、私が選んだのが本作です。
理由は「犬」がタイトルに入っていたからという単純なもの。
近藤史恵さんの作品をしっかり拝読するのは今作が初めてです。
近藤史恵さんの作品といえばミステリというイメージがありますが、今作はそんな中でもミステリ要素は比較的少ないように感じます。ただ、最後までどうなるのとハラハラドキドキはします。
近藤史恵作品が初心者の私としては本作を選んで正解だったように思います。
いや、単に私好みだったのかも??人間の闇と希望が見えるような見えないような感じが。
多分近藤史恵作品の入門編としては、今回の読書会でもご紹介された
「タルト・タタンの夢」辺りがいいのかもしれません。
さてさて、本作はどのような物語かというと。
モデルとして鳴かず飛ばずだったモデルの女性がある日里親会で出会った犬を迎えることになります。
迎えた犬との日常をブログで綴っているうちに犬と共にお仕事が舞い込んでくるようになりました。
プライベートでもお仕事でも大切なパートナーとなった犬なのですが、ある日不慮の事故で亡くなってしまいます。犬の死を悲しみつつもお仕事が亡くなることを恐れた主人公は亡くなった犬と似た犬探すことに。
ミックス犬なのでなかなか似ている犬を見つけれないでいたところ、道端で偶然見かけたホームレスが連れている飼い犬そっくりの犬を発見します。犬を譲ってくれるようにホームレスと交渉するのですが断られてしまい、困り果てた主人公は犬を誘拐することに。そして、そこから主人公は思わぬ事件に巻き込まれていきます。
キーワードは「犬」「不倫」「死」「詐欺」
前半は主人公の目線で語られ、後半は詐欺グループの一員である男性の目線で語られます。全く別の世界にいた2人が「犬」を介して繋がっていくことになります。
近藤史恵さん、今更ながらさすがだなと思うのです。前に拝読した角田光代さん作品の感想でも言いましたが、やっぱりロングセラー作家にはそれなりの理由があるなと。
本作は決して明るい物語ではありません。どちらかというと胸がチクチクなりながら読まねばならない物語です。でも読む手がとまらないんです。
前半の主人公にも後半の主人公にも大いに共感できることはないけれど、ところどころで気持ちがわかってしまう。どこか自分事のように思えてきたりもするのです。
なんていうんだろうな……
純粋に愛していたモノをいつのまにか自己顕示欲を満たすために巻き込んでしまっていたときの自分に対する嫌悪感というか、純粋な気持ちが歪んでしまった哀しさというか。
そしてそこから抜け出せない苦しさ。
読了後、実在しない主人公たちと犬のこれからが希望のあるものでありますようにと願いたくなるのでした。
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