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とにかくうちに帰ります/津村記久子
積読本📚の中から、津村記久子さんの短編小説集「とにかくうちに帰ります」を拝読しました📖´-
(2023,10,1 読了)
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今月はエッセイばかりを拝読するつもりでしたが、LINEオープンチャット”読書好きの箱庭”の中で津村記久子さんの話題が出たので、そういえば積読本の中に私も津村記久子さんの作品あったなと思い引っ張り出して拝読してみることにしたのです。
津村記久子さんの作品は今回が初読。
大きく分けると三話のお仕事小説。
「職場の作法」は四つの章で分けられていて、その次の「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」も主人公は同じ。
そして表題作の「とにかくうちに帰ります」は、主人公が二人でそれぞれの視点が交差しながら物語が進みます。
どのお話も拝読しながら
そうそう、そういうことあるよね!
と思わず本の中の人達に話しかけてしまいたくなりました。
つまり津村さんは、「取るに足らないとされていること」や、「確実に起こっているけれど覚えておくまでもないこととされていること」を積極的に書いてくれる。重要なのは「とされていること」という点である。
西加奈子さんのおっしゃるように忘れてしまっていた感情を呼び起こさせてくれるのが津村記久子さんの描く物語です。
仕事で心身ともに疲れきってるのに追い打ちをかけるように帰宅時に土砂降りになり、そんな中を自転車漕ぎながら惨めさと哀しさと怒りが入り交じり、とにかくうちに帰ってホッと一安心できることだけをイメージした日は何回もありました。
「とにかくうちに帰ります」を拝読しながら、その時の自分が鮮明に思い出され、よく頑張ったよと声をかけてあげたくなりました。
「できる子だね」と自尊心をくすぐられることには必ず裏がある。すなわち、ゴミ箱にゴミを捨てるように、仕事を投げ与えられるということ。
先に拝読した「『会社を休みましょう』殺人事件/吉村達也」の中でも似たような言葉がありましたが、今私が引っかかっていることはつまりこういうことなのだろうと思います。
要は今の私は無理しているということ。
投げられた仕事を素直にそのまま受け取りすぎてるということ。
ちゃんと無理なことは無理と突っぱねないと、投げる方は際限なく投げてくるのだから。
偶然拝読した本でしたが、やっぱり拝読すべき時に拝読するようになっているものだと妙に感動してしまいました。
人に支配権を渡してはダメですね。自分で自分のことはコントロールしなければ。
津村記久子さんの描く物語は、心の奥底を見せてくれるような優しいものでした。
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