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日記 おたのしみデー

会社で定時の音楽が鳴ると、やりかけの仕事もそこそこにパソコンを閉じてそそくさと退社。一旦壁の時計を見て、それから目の前の上司にギリ聞こえる音量で「おっやばいやばい」などと独り言をつぶやくのが定時ダッシュ退社のコツである。いかにもこの後約束があるから急がなきゃという雰囲気を演出しましょうね。

会社を出て、しかし繁華街の方向には目もくれずまっすぐと家に帰る電車に乗る。途中スーパーでお酒とおつまみとアイス、竹乃屋で焼鳥のぐるぐる鳥皮などを買う。今日は久しぶりにわが家の「おたのしみデー」を開催するからだ。

「おたのしみデー」とは、わが家において不定期に開催される夕食としてなんでも食べていい日のことである。こどもたちは主にお菓子、大人は焼鳥などのおつまみを各々好きに選んで酒池肉林の宴を開催する。この日ばかりは栄養バランスがどうだとか食事中にテレビを見るなとかそういうルールは無用。要は大人も楽しみたいのでこどもたちも勝手にやってくれ〜ということなんである。

今頃家族は早く始めたくて私の帰りを心待ちにしてるだろうな、と思い自転車を力いっぱい漕ぐ。玄関ドアを開けて「ただいまー!」と大きい声で言うと、こどもたちが駆けつけてきておかえりー!待ちくたびれたー!という明るい声、ああ幸せなわが家……かと想像していたら、予想に反して家の中は気怠い雰囲気に包まれていた。明らかに次女のテンションが低い。


『おたのしみデーの歌』
※THE 虎舞竜/ロードの替歌
作詞:三毛田

ちょうど1日前に 裸で踊った夜
昨日のことのように 今はっきりと思い出す
次女の発熱のせいで おたのしみデーはおじゃんさ
先に寝た次女の皿の ポテチのところが綺麗で

食卓に座る妻は まるで子供のように
微笑みを浮かべたまま わさビーフを食べるのさ
一口もらった俺は うますぎて驚いて
ローストビーフと何も変わらないと思った

なんでもないような日々が 幸せなんだと思う
長女が言った一言「次女いないと静かだね」


ありがとうございました。ぺこり(拍手喝采。全米が涙)

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