願いを叶えるツル
昨夜、7歳長女が「あのさ、これ噂で聞いたんだけどさ……」と話しかけてきた。
なになに?と聞くと、「折り紙に願いごとを書いてね、それでツルを折って枕のところに置いて寝たらその願いが叶うんだって」と長女が言う。
へえ、そうなんだ。そういえば小学校の頃、そういう系のおまじないってよくあった気がする。消しゴムに好きな人の名前を書いて誰にもバレずに使い切ると両思いになれるとか、好きな人とすれ違った時に気づかれないように小さい声で「ソリエイ」ってつぶやくと3日後に告白されるとか。
(そんな話を妻にしたら「ソリエイってなによ」って言われた。えっ、知らないのかソリエイ。でも「ソリエイ おまじない」で検索するといくつかでてきたから私の学校だけではないみたい)
長女の言う「枕元に折り紙のツル」もそういう感じで小学校で言い伝えられているんだろうなと思うと、私の頃とあんまり変わってなくてちょっと嬉しい気持ちになった。今でもそういうのあるんだなあ。
そういうことで、こどもたちと一緒に試してみることにした。試してみないと噂が本当かもわからないからな。いざ。
まず、折り紙に願いごとを書きます。なお、検証するために願いごとは叶ったかどうかがすぐにわかるものに設定します。
その折り紙でツルを折ります。
これを枕元に置いて寝ます。
寝ました。朝です。さて、私の「ラッコといっぱいあそぶ夢がみたい。あとドーナツいっぱいたべたい」という願いは叶ったでしょうか。
……叶ってない。全然叶わなかった。どうなってるんだよツルさんよ。長女が言うには、寝てる間にツルが願いを神様のところに届けてくれるとのことだったのだけど、辿り着けなかったんだろうか。まあ噂なんてこんなもんである。
ちなみに私が何の夢を見たかと言うと、街がゾンビに襲われる夢だった。友達が噛まれてゾンビになってしまったんだけど、ゾンビの格好でコーヒーを飲んでいたので心配しなかった。なんちゅう夢だ。
*
今日は地元の小さなお祭りがあった。7歳長女は友達と一緒にまわるというのでお小遣いだけ渡して見送り、私は6歳次女と2人でまわることになった。
次女は出店のポップコーンを買い、それを勢いよく食べていたかと思うとすぐに飽きて袋をこっちによこした。なんなんだ。仕方なく私も食べてみるとなんだか味気なく湿気ていておいしくない。しかし次女はというともうポップコーンのことなど忘れたかのように近くの雑貨屋さんに夢中になっていた。これ、全部私が食べるのか……。
そして雑貨屋さんに着いていくと、そこに長女がいた。会うなり「父さん、お金たりないから1000円ちょうだい!」と言う。えええ、ポップコーンも200円だし射的とかのゲームも全部1回100円という良心的な価格のお祭りだというのに、何にそんなにお金を使ったのか。
とりあえず会計を待たせていたのでさっと払い、それから後で長女に何を買ったのか聞いてみた。すると、その雑貨屋さんで1つ400円のキーホルダーを2つ自分と次女用にお揃いで買ったのだという。え、わざわざ次女の分まで?
さらにそれだけでなく、長女は私に「はいこれ」と小さいビニール袋を渡してきた。見ると1つ800円もする小さい編みぐるみを2つも買っていた。長女は嬉しそうに「これ、父さんと母さんにプレゼントしたくて」と言う。いや、ありがたいけども。そりゃお金も空っぽになるわけだ。
長女、隙あらば私たちに何か買おうとしてくる。自分のお小遣い(私が渡したお金だが)でプレゼントができてご機嫌である。ちょっとお金の使い方は怖いところがあるが、なんて優しいんだ。いやあ〜〜〜〜親の顔が見てみたいよ(私だ!!)。
「ラッコといっぱいあそぶ夢がみたい。あとドーナツいっぱいたべたい」という願いは、熊の編みぐるみといっぱい遊ぶことができて、あとおいしくないポップコーンをいっぱい食べるという形で叶っていたのだった。ううむ、叶ってるのかこれ。ちょっと無理矢理だけど、まあ今日はみんな楽しそうだったので良しとしたい。