日記 晩夏にトム・コリンズ、1Q84の青豆さんごっこ
大抵の出来事やそこで感じたことを落ち着いて言語化できるようになるまでに、わりと時間の経過が必要なことが多い。今日は先月のことを書く。
8月○日。友人と入ったバーで、「トム・コリンズ」を初めて飲んだ。ジンをベースにレモンの搾り汁、炭酸水、砂糖のシンプルなやつ。これが美味しかった。友人はウィスキーを注文していた。
オールタイム熱波な8月の空気に、涼しい風がようやく少し吹くようになった頃の晩。友人の秀逸嗅覚のおかげで素敵なバーに辿り着き、清潔なカウンターでキリッとした佇まいのトムコリンズをいただいた。
お酒に疎い私は定番のカクテルもろくに知らないが、トム・コリンズは村上春樹の小説「1Q84」で知った。
ヒロインの青豆が六本木のシングルズ・バーで、婦人警官のあゆみと2人でチームを組み、男を物色するシーンがある。そこで青豆が飲んでいるのがこれ。
青豆曰く、トムコリンズは「そんなに強くないし、ちびちび飲める」らしい。
「びっくりするほどの発明とも思えないけど」とも。たしかに。
ジンベースだから充分強い飲み物だと思うけど、ちびちびくらいがいいのはわかる。
味も、ルックスも、複雑さがない。わかりやすい。派手ではないがどこか安定した貫禄がある。どちらかというと男らしい飲み物だ。それを29歳のクールな女性、青豆が飲んでいるというのがとてもマッチしている、と思った。
その日みつけたバーはすごく良いお店だった。数少ない経験からくる独断と偏見でものを言うが、良いバーのバーテンダーさんって、顔つきが健康的な傾向にあると思う。肌の血色も良い。早寝早起きしていそうなくらいに。そして清潔感がある。
そういう人たちが働いている場は、心地よく気が引き締まっていて、程よい緊張感とリラックスがあり、空間が明るく艶々している、と思う。
翌日はしっかり酔いが残った。
次はミモザが飲みたい。同じく1Q84で、青豆とあゆみがフレンチレストランで乾杯してたやつ。
読んでいただきありがとうございます。