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2018年、スーズダリ・ウラジーミル
昨日、iPadのホーム画面に一枚の写真が表示されました。
「For You 」機能が「この日」というテーマでピックアップしてきた写真です。
それがこれ。
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…なつかしい。
ウラジーミルのドミトリエフスキー聖堂です。
5年前の「この日」2018年9月21日、私はスーズダリとウラジーミルにいました。
そもそも
モスクワからウラジーミルまで約170km、ウラジーミルからスーズダリまで約35km。
泊まりがけで行った方がいいような距離ですが、ほんの1週間ほどしかない旅行中にホテルを転々とするのは苦手なので、ホテルはモスクワに取ったまま、強行軍で出かけることにしたのでした。
朝4時起床。
始発のメトロに乗るため駅に向かう途中、見上げた空にはオリオンが出ていました。
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メトロのヴェデンハー駅のあたりから
スーズダリ
モスクワの北東には「黄金の輪」と呼ばれる古都群があります。
スーズダリもウラジーミルもそのひとつで、いつか訪れてみたいとずっと思っていました。
モスクワからスーズダリへは約4時間、まずは特急でウラジーミルに行き、そこでバスに乗り換えて向かいます。
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特急の車内で私は迷っていました。
2日前、トヴェーリに出かけた日にどうやら風邪をひいたようで、以来微妙に熱っぽく、声も出にくかったのです。
2か所も回るのは無理じゃないだろうか。
それなら今日はスーズダリだけに行くか、
それともスーズダリは諦めてウラジーミルだけ見てモスクワに帰るか。
でもウラジーミルだけで帰ったら後悔しそう。
ここまで来たのだから、やはりスーズダリに行きたい。
でも身体がもつかな…
ぐるぐると考え続け、ウラジーミルのプラットホームに降り立った時にようやく心が決まりました。
当初の予定通り。私はスーズダリ行きのバスに乗り込みました。
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そして降りた途端にタバコを吸う人たちでケムかった…
憧れの街・スーズダリはとても静かで美しいところでした。
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川ではおじさんが釣りを楽しんでいました。
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中ではミサの最中でした。
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時々、牛の鳴く声。遠くで車の走る音。
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白鳥をあしらった窓枠。すてき。
長距離バス
ウラジーミルとの行き帰りには、スーズダリの街の入り口でバスを乗り換えます。
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ウラジーミル行きのバスを待つ間、別のバスの前でたむろしている男女数人のロシア人を見るともなしに見ていました。知り合いなのか、身体をぶつけ合ってふざけていたりして、仲よさげです。
と思ったら、彼らはバス会社の職員でした。
発車の時間が来て男性2人は運転席に乗り込み、残る他の人たちがそれを見送ります。
フロントガラスに置かれた行先表示は、
イジェフスクーモスクワーミンスク。
超・長距離。
2,000キロにも及ぶながいながい道のりの途中だったのです、ほんの少しの休み時間にああやってふざけあうのも当然ですよね。
なにか胸に迫るものを感じながら、私もバスを見送りました。
ウラジーミル
ウラジーミルに着いた頃には熱が上がったのか、冷たいものが飲みたくてたまりませんでした。
モスクワに戻る特急の時間まではまだあるので、冷たい飲みものを求めて市街地へ行ってみることにしました。
バスターミナルから市街地までの急な坂がこたえます。そして強い日差しが追い打ちを…
公園でコーヒーの屋台を見つけた時はやった! と思いました。
しかし、勢い込んで注文したところが、手渡されたのはホットコーヒー。
はい?
この暑いのに、ホットコーヒー??
思い込みってすごいですね。
その時の自分はなぜか、アイスコーヒーが出てくるものとばかり思っていたのです。
湯気を立てるコーヒーをもてあましつつ、通りを歩く羽目になりました。
目抜通りをしばらく歩くと、前方に黄金の門が見えてきました。
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ああ、やはり来てよかった。
ウラジーミルを素通りせずに、歩いてみることにしてよかった。
どっしりとした美しい門はガイドブックでも見て知っていましたが、実物には思っていたよりも感動しました。
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交通量がかなり多かったです。
信号がないうえに運転の荒い人が多いので
道路を渡るのは断念しました。
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駅側には生神女のイコンが、
反対側にはキリストのイコンがあります。
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建物はほとんどが二階建てで、整然とした印象です。
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銀行が入っていました。
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ロマネスク様式の装飾が見事でした。
誰かこの聖堂をきれいに写真に撮って
解説つけて本にしてくれないかな〜
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クリャジマ川とどこまでも広がる大地と。
ウラジーミル駅にて
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夕暮れのウラジーミル駅は郷愁に満ちていました。
ベンチでぼんやりしながら、先ほど見てきた聖堂のことを思い返します。
聖堂でろうそくを買ったのですが、灯明がなくて火をつけることができません。
係の人に聞いてみると、夕方のお祈りの時間まで灯明は消しているとのこと。燭台にろうそくを立てておけば、夕方に誰かが火をつけてくれるのだそうです。
私のろうそくに見知らぬ誰かが火をつけてくれて、それで私の祈りが完成する。
そのあるかなきかの縁に感謝しました。
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丘の上の街を望む
帰りの特急では爆睡。
風邪をひきかけの身で、ひとりでこんな遠方に日帰りしたので疲れ切っていたのですね。いまにして思えば、我ながらよく行ってきたな… という感じ。
iPadのおかげで、忘れかけていた旅の記憶が蘇りました。
本当に行ってよかった。
またまた長くなりました。
最後まで読んでいただきありがとうございます!