心の声を裏切らない

スーパーでの買い物中、パン売り場でドーナッツを見つけた。
普段なら菓子パンの類はスルーする私だけれど、何故かこの日はドーナッツに釘付け。

思わず買い物かごにポイっと入れる。

帰宅後、買って来た食料品を冷蔵庫に入れる。
袋の中を覗くと最後に残っていたのはドーナッツ。

うふふ。
そうだった。
今日はこれを買ったんだった。

普段買わないドーナッツをひとりニヤけた顔で見つめる。

（えーっと？合わせる飲み物は？）
（やっぱりここは紅茶でしょ？）

もう1人の私と楽しげに会話する。

お湯を沸かす間にカップと紅茶を準備しよう。

ポクポクポク…。
湧き立てのお湯をカップに注ぐとティーパックをゆっくりと沈める。

ドーナッツも袋から出してお皿に置いた。
お店とひけをとらない。
おひとり様専用カフェの出来上がり。

（そっかぁ。今日はこれを食べたかったんだね）
（美味しいね）
（嬉しいね）

再びもう1人の私に優しく語りかける。

ベランダにまで差し込む西日に冬の日の低さを感じさせる。
私は両手でカップの温かさを確かめるとゆっくりとドーナッツを口に運ぶ。
誰にも邪魔されないほっこりしたティータイム。

特に贅沢なことはしていないけれど。
心の中はしっかりと満ち足りた。


私は決めた。
心の声を裏切らないように。
小さなことだけれど、これからも私が私をとびっきり大切にしてあげる。

読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。