「日本茶と抹茶はどうちがうのですか?」(生徒さん)
ジェモセラピストで茶道教授の水上麻由子が、皆さんのご質問にお答えする
「教えて!まゆこ先生シリーズ」
これは茶道教室に来ている生徒さんの質問ですが、私達は、一口に「緑茶」と言っても、案外、煎茶と抹茶の違いなどわかっていないものですね。
チャの木
チャ(植物)の木は、ツバキ科カメリア属の永年性常緑樹に分類されるものをさします。チャの木にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは中国種とアッサム種で、日本のチャの木は中国種です。中国種はアッサム種に比べてカテキン量が少なく、アミノ酸含有量が多いのが特徴です。
緑茶も紅茶もウーロン茶も、製法が異なるだけで同じチャの葉から作られています。また、形状の違いは三つに分けられます。
① 「茶葉」 私たちが日常緑茶と呼んで馴染みのあるもの
② 「固形茶」 茶葉を固めたもの
③ 「抹茶」 粉状にしたもの
茶の伝来
1191年に禅僧の栄西が宋から持ち帰ったのは、チャの木の種と固形茶だったといわれています。当時はその固形茶を飲む時、削って粉にしていました。現在のまれている抹茶の作り方はさらに少し変化して、碾茶(てんちゃ)と呼ばれる茶葉を石臼で引いたものです。碾茶の栽培は玉露と同じで、覆いをして日光を遮って育てた一番茶が使われます。宇治のあたりでは、この覆いをした茶園の風景があちこちで見られます。
ちなみに、チャの木は樹齢5年目くらいから葉が摘めるようになりますが、玉露や抹茶の茶葉を摘むには、30年以上から100年くらいの樹齢がよいといわれています。
茶の種類
玉露(煎茶)は、摘んだ茶葉を蒸した後に揉みます。
碾茶は、揉まずに蒸した茶葉を温風で舞い上げ、ひらひら飛ばしながら余分な水分を除き、茎や葉脈も取り除いて乾燥させた、フレーク状のものです。口に含むと甘く、海苔のような香りもします。碾茶は抹茶の前の状態のもので、一般にお店で見かけることはありません。
抹茶は、碾茶を石臼でひいたものです。
抹茶は煎茶と比べて、アミノ酸は2倍以上となるのでうま味をつよく感じます。抹茶に湯を注ぎ、茶筅(茶碗の中で抹茶と湯を混ぜるための道具)で泡立てて、茶葉をまるごと飲めるので、ビタミンなどの栄養素を無駄なく摂取できます。
推薦図書『お茶の科学』
茶の歴史や効能、中国茶や紅茶などの世界のお茶の話など、広くお茶について書かれている書籍です。
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