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⑭「大丈夫です」問題

研修講師の石原まゆこです。職場のジェネレーションギャップの生情報を紹介しております。基本スタンスは、上司の味方です。がんばれ!上司。

さて、タイトルの「大丈夫です」。ここ数年、上司の皆さまからしばしば聞くようになりました。「でた~大丈夫です~!!!」「最近の若手、すごく言うよね」「なんか淡々と言われると一瞬、どっち?って意味わからないよね」マネジメント研修で盛り上がる問題です。

若手社員から「大丈夫です」と返ってきたときに、上司が意味を正確につかめない場面では、主に2つの可能性があります。
①肯定的、本当に大丈夫な場合
②否定的、拒否やお断りの場合
「一杯、どう?」に対して「自分は大丈夫です」と返されると、来るのか来ないのかわからない。若手社員の言い方や表情、雰囲気で察する必要あり。「あ、大丈夫?何時に事務所出られそう?」等、上司からの働きかけで会話を続けて確認する必要あり。「自分は大丈夫です。体質的にお酒は飲めないので。皆さんでどうぞ。」「自分は大丈夫です。体質的にお酒は飲めないんですが、飲み会自体は好きなので」「自分は大丈夫です。夜は都合が合わないので、できたらランチとかじゃだめですか?」パターンは複数。どの意味合いの会話に進むかは読めません。正確なキャッチボールをする双方の努力は、コミュニケーションスキルの基本です。本当は”双方”の努力なのですが、まずは、がんばって上司!

そして、もう一つはこちら。
③え?上司から見ると全然大丈夫じゃないのに?なんで大丈夫っていっちゃうの? 
です。分りにくい、ということではなく、実際に大丈夫じゃない状況です。

ロールプレイング研修でしばしば観察される原因は、意図やゴールの確認という「段取り力」が不足していること。新入社員はビジネス経験はこれからなので当然といえば当然ですが、入社数年経っても段取り力不足が続いている方もいます。この場合、若手社員は本当に「まあ、大丈夫だろ」と思っています。段取り力の一部ともいえる「ほうれんそうスキル」も不足しているので、経過報告もありません。仕事は、自分なりに進めても期待されている成果に結びつきにくいことは多い。結果納期も送れ、上司が巻き取ることに。大丈夫じゃないことは、上司から見るとある程度はじめから推察できるのですが、大丈夫です、と返ってくると、じゃあよろしく、と受けがち。で案の定の結末へ。

段取り力、ほうれんそうスキルは、新入社員研修では年々不得手なメンバーが増えていると感じます。学生時代までの経験で、コミュニケーション要素が希薄になってきているのかもしれません。現場に配属されれば、だんだん身についてくるかというと、必ずしも当てにはできません。年齢の近い先輩上司も、同様に身についていない職場では、自然と身につくのは難しいです。

③の原因は他にもあります。なぜ、つい大丈夫ですといってしまうのかについて振り返りをした際、若手社員の皆さんが現場での事情や気持ちを教えてくれました。
・客先訪問の外出の時間が迫っているから
・上司との信頼関係が築かれていないので、話しをききたくないから
・上司の指示が長くて要点を得ないのでイラつくから
・細かい上司にいちいち言われた通りにやるより、自分流でやってみたいから
・聞きやすい先輩に相談すれば済むから
・上司の話し方に圧を感じる。とりあえずその会話から逃げたいから
どれが原因の「大丈夫です」なのかを把握するのは、かなり難しいです。

★対策と指導案★
✓「大丈夫です」だけだと、ビジネスでは正確に意思が伝わりにくい、ということは上司から若手社員に指導してください。知らない若手社員も多いです。
✓段取り力やほうれんそうスキルは、体験型のロールプレイング研修を実施すれば、その必要性や手法は体験できます。座学で受動的に学んでも実感がわかないので、体験型の研修がオススメです。研修会社に相談する際には、「座学中心ではなくケーススタディの体験型研修で」と依頼してください。
✓大きく括れば、要はコミュニケーションの問題ともいえます。コミュニケーションによる信頼関係構築は、内容より「回数」が効き目アリ。こまめに話しかけ、相手に誠実な関心を示す。これにつきます。関係性があってもなくても上司のいうことは絶対、の時代は過ぎ去りました。がんばれ!上司。


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