今後一生会わないとしても、出会った人に良い影響を与えたい
わたしは学生時代、4年間某ひつまぶし屋さんでホールスタッフのバイトをしていた。
わたしが高校3年生の3月にオープンしたお店で、
わたしは高校3年生の3月に入ったので、
4年目には分からないことなんて何もなかったし、
ありとあらゆるお客さんに会ってきた。
今日はその中でも印象的だったお客さんをレベル別に紹介していくぅ!
⭐︎言い間違え
🙋♂️「あ、じゃあ僕はこの上ひまつぶしで。」
👩🍳「上ですね。かしこまりました。☺️」
これくらいでは全く動じない。
しかし、未だに「ひつまぶし」を「ひまつぶし」だと思っている人がいるとは。
だけど、これ結構います。
わたしは大人なので、「ひつまぶしですね☺️」と言い直すことはしない。
🙋♂️「あ、じゃあ僕はこの上ひまつまぶしで。」
😯「………上ですね!かしこまりました☺️」
流石にちょっと動揺した。
"ひまつまぶし"は流石に4年間で1回しか言われたことがない。Himatsumabushi…
まあ、注文が伝われば良いのだ。全く問題がない。笑わせてくれてありがとう。
⭐︎⭐︎「お釣りはいらないよ。」
60代くらいだろうか。上品な感じの初老のご夫婦だった。
着てるもの、全部高そう。ひょ〜!
ところでわたしのバイト先では、料理を提供した時に
「ひつまぶしのお召し上がり方のご説明はいかがですか?」
とお伺いする決まりがあった。
というのも、東京だとひつまぶしの食べ方を知らない人が案外いるからだ。
そのご夫婦にも、もはや寝ながらでも言えるんじゃないかというくらい言い慣れた、そのセリフをかけた。
すると、
「結構ですよ。よく食べていたので。」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ。」
で、わたしのバイト先の決まりがもう一つ。
食事を終わられている様子のお客様がいると、
「お食事後に緑茶のご用意ございますが、お持ちしてよろしいですか?」
と聞く。
この緑茶も中々こだわっている高いものだそうで、
「美味しいわ。おかわりください。」
と言われることも少なくない。
そのご夫婦にも例によって緑茶を提供した。
その時、
👴「美味しかったです。東京でもこの味が食べられるとは思っていなかった。」
🧚♀️(わたし)「ありがとうございます。
名古屋の店舗にはよくいらしてたんですか?」
👴「はい。蓬莱軒よりもね、私はおたくの鰻が好きで。妻とよく来ていたんだけれど、私が東京の勤務になってからはしばらく食べられていなくてね…。
今日は来られて本当に良かったよ。ありがとう。」
なんだろう。
わたしはこの店の東京進出に1mmも貢献していなければ、
うなぎを入荷しているわけでも焼いているわけでもないけれど、
胸がほっこりして、とても嬉しい気持ちになった。
お会計は2人で7000円くらいだっただろうか。
男性が1万円を出し、わたしがお釣りの3000円を渡そうとすると、
「いらないですよ。
厨房の方にも美味しかったとお伝えください。」
えーーーー??!??!
かっこよーーーーー!!!!?!
3000円って、わたしだったら昼ごはん1週間は余裕で食べられますけど?!!!
「お釣りはいらないですよ」
を初めて聞いた瞬間だった。
⭐︎⭐︎⭐︎粋なお客さん
桜の季節だった。
わたしの元バイト先は商業施設の中に入っていて、
その商業施設が花見のイベントをやっているせいで、
花見の時期はクソ忙しかった。
桜なんて全部散れば良いと思っていた。
そんな最中のお客さん。
夫婦で、年齢は50歳前後だろうか。予約なしで平日にひつまぶしを食べにくるだけあって、お上品で、余裕がありそうな感じ。
これといって会話を交わしたわけでもなかった。お会計の時に、
「美味しかったです。」
「ありがとうございます。」
とかその程度。
お客さんが帰られて、お盆を片付けようとしたら、
お盆の上に一輪、桜の花が置いてあった。
で、使い終わった箸袋に一言
「ご馳走様でした。」
と。
たまたま帽子かなんかに桜がくっついてきて、席に座ってから気付いて、持ち帰るのも邪魔だから置いて行っただけなのかもしれない。
それでも、綺麗な桜の花びら、"ご馳走様"の一言、
それだけで自然と笑みがこぼれて、
もうちょい頑張るか〜!
となれたのである。
わたしは今後の人生でこのお客さんにもう一度出会うことはないと思う。
それはお客さんからしてもそうだけど、
一言、少し手間をかけて、相手が欲しい言葉をかけることができて、
何年経っても忘れないような、良い影響、心に響く思い出、そんなものを与えられる人って
めちゃめちゃ素晴らしい。
わたしもそんな大人でありたい、と、大学生ながらに思っていたのである。
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