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日記 7,000円のランチ


深い深い、暗闇のような眠りから目が覚めた。
私は普段は夢を5本仕立てで見るくらい眠りが浅い方だが、今日はよく眠れた。
体を起こそうとすると、腕、脚、腰のあたりに鈍痛が走る。そうだ、私は連日のバドミントンのせいでひどい筋肉痛に見舞われていたんだ。昨夜は家にあるだけの湿布を全身にペタペタと貼って眠ったが、そう都合よくは治ってくれないみたいで、ただ昨日の痛みを100とすると80くらいには回復しているような気がした。
「よいしょ」と一声あげて体を起こし、水を1杯飲んだ。そして、筋肉痛の1日でも早い回復を望む私は、YouTubeで良さそうなストレッチを2,3個ピックアップして伸ばせるだけの筋肉を伸ばした。

待ち合わせの時間にはまだ余裕があったので、軽く何か食べようかと思ったがあまりお腹が空いていなかったのでやめておいた。
筋肉痛の体を引きずり、電車で30分ほど移動して、約束の場所に向かう。

転職先は友達の紹介経由で選考に進んでいて、その内定祝いとして「1人7,000円まで」会社からランチ代が出るらしい。私と友人は、もはや「何が食べたいか」ではなく「なるべく7000円に近づける」という観点で店選びをし、7000円のしゃぶしゃぶのコースを予約した。


ランチの感じではない、ただならぬ雰囲気が漂う全席個室の店内。友人が会社の昼休み中なので、コースとは思えないスピードで料理を平らげていく。私と友人は、「なんかよく分からないけどうまい」を連発しながら、7000円をむしゃむしゃ食べた。メインの肉はスーパーの3割引の肉とは違い、なんか脂が甘い。気がする。そう、そんな気がするんだ。「米、来ないんかな」という私と友人との期待とは裏腹に、3口くらいしかないうどんとラーメンの中間くらいの麺が来て、上品な味のプリンが来て、コースは終了した。

これが会社のお金でなく、ただ自由に使っていい7000円が渡されたとしたら私は確実に全額ランチに注ぎ込んだりなんかしない。少し遠くに行って、2000円くらいのランチを食べて、何か記念に残るものでも買って、それでも「3000円も余った♩」とか言って満足しているだろう。

7000円のランチというもうしばらくはできないであろう、もしかしたらもう一生しないような体験をして、心地のよい満腹とともに少しスキップをして帰った。

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