星へ、お花見。(ショートショート)
星へ、お花見。
銀河鉄道に乗って火星まで
早咲きの桜を見にゆく
最近ICOCAが使えるようになったって聞いたから使おうとしたら
チケット売り場のおっちゃんが
あん?
ICOCAなの?
…って
めっちゃめんどくさそうに眉間にシワ寄せ寄せでにらむからさっ
はぁっ?
なんかあかんことあんの?
◼️%&$%◎△()0=!!!
…って
ヘンテコになるから普段はほとんど使わない関西弁で
窓口に貼ってあったイコちゃん(カモノハシ)ステッカーをツンツンしながら
まくし立てちゃったよ
それで、今、席について「猫」をかぶり直している…
列車がゆっくりと走り出した
駅を抜けるとレールはなくなるけれど平然と列車は宇宙へ向かう
うわ〜 あのアニメと一緒だー!!
と毎回何故か感慨深い
もちろんこの鉄道の終着駅もアンドロメダ駅だ
さすがに機械のカラダはもらえないけど
開発が進んでおしゃれな星になって人気の移住先らしい
その点、これから行く火星は今は少し廃れたレトロ星で
早くから開発を始めたのに思ったほど発展しなかったのは
あの赤い砂嵐を克服できなかったせいなのだろう
でもその赤い砂の砂風呂はお肌にいいぞー
楽しみだ!
・・・なんて、ほら、もう火星が見えてきた
地上に点々と設置された透明なドームの中で早咲きの桜が舞っている
ヒトが宇宙の神様に捧げたスノードーム
その中では地球の日本と似せた四季が移ろっている
自然を無視したバイオテクノロジーは明るい闇だ
そしてそれはとても美しい
車掌がもうすぐの停車を告げながら通り過ぎる
通り過ぎたのはアニメに出てきた「その制服の中はどうなっているのでしょう?」の不思議なあの車掌さんではなくて、もちろん、Suicaのペンギンだよ🐧
お題;列車に乗って
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