見出し画像

GOOD WAR TOUR 22. おふろの夢

あれ、明日から上演開始じゃない?
ほとんどPIPE  DREAMの気配がないが大丈夫だろうか。

わずかな気配。

制作の美希さんが「いつも反省するんです。もっと朗くんと話さないとなあって」と言っていた。
学生だった頃は、一緒に過ごす時間・制作する時間が長かったから、言葉にしなくても伝わっている(だろう)と思えることが多かったけど、と。
今年の目標は「もっと言葉にできるように」。
私もそう心がけたい。

GOOD WAR。
違和感を感じるのは、ここに道がないからだった。
実際にこのBUoYで公演を打つとしたらどこで何をやっていたか、演出を確認してゆく。

BUoYは公園みたいだ。てんてんと配置されたモニュメントたちが遊具に見える。ここに道はなくて、進むところはなくて、時間が止まった、しばし休みの、「溜まり」の空間。地下と公園。銭湯。
じゃあどこに道を作るべきなのか。

PIPE  DREAMとGOOD  WARを同時に上演するということで、「ここ(BUoYの劇場空間)」に道がないことの意味は叶う。
地下にくだる階段がとても重要な意味を持ってくる気がした。

大阪で失われたものをそのまま持ってきたのではない。
もちろん大阪でのもの・ことを追いかけているのでもない。
それでもGOOD  WARという一つのモニュメントを「持ってきた」という事実はある。

音声は、大阪で急遽用意してもらった、自宅で出演者各々がスマホで録音したものをそのまま持ってきた。
「声をもらってきた」と誰かが言った。

ラスト、あっちとこっちの境目に横並びで腰掛けている3人(架空)。
伊奈さんのずっといた(架空)「向こう」(おふろコーナー)、これはどこ?
これはつまり、伊奈さんの役割は何? ということ(架空)。

大絶賛煮詰まり中の様子。

美術のりえこさんが、火のような電気のような、デジタルなようなアナログなような、命のような機械のような電球を持ってきてくれて、それを電子ドラムの上に設置した。おばけみたい。

中身が常時光りながらぐるぐる動いている。

「銭湯も病院も真っ裸。銭湯と病院の間みたいにしたい」というのは朗くんの弁。


制作36回目
日時:2022年2月9日(水)
出席:たくさんめ
場所:北千住BUoY


『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。

『PIPE DREAM』は、演出と出演を行う河井朗の祖母が医療ミスで植物状態に陥ったことをきっかけに、河井自身がマッチングアプリなどで無作為に出会った人々に「理想の死に方」についてインタヴューを行い、その中で語られた言葉から構成されています。
自身で動かすことのできない自分の身体、生きることも死ぬことも決められなくなった遠い自身、その自身の決定権を握っている人、それぞれと意思の疎通を図ることを試みる作品です。

『GOOD WAR』『PIPE  DREAM』

原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美

日時・会場
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY
※すべての上演は終了しました。ご来場いただきました皆様、気にかけてくださった皆様、誠にありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集