英語が話せない大学生が外国人と周る現地発着バスツアーに参加しちゃった話【後編】
【前編】はこちら↓↓
個性的な仲間
ツアーメンバーはたしか40人弱だったと記憶しています。
8割がオーストラリアから、ほかにはアメリカ、ニュージーランド、メキシコ、そして日本からの参加者です。
中でも印象に残っているメンバーを紹介します!
オージーの弁護士Greg
個性豊かなメンバーの中でもひときわ目立っていたのが、オーストラリアの弁護士Gregでした。
体格が良く、声もでかい。
見た目は46歳くらいで、25歳と聞いたときは耳を疑いました。
Gregはその抜群の存在感と社交性で、あっという間にムードメーカーになります。
Gregはわたしたち日本人に優しく、積極的にコミュニケーションをとってくれた一人です。
ノリちゃんの名前、Norikoの発音をGregに教えたところ、
No Ki Mo
と発音していました。
英語ネイティブにとってNo Ri Koという音の並びは不自然なようです。
その間違い方がかわいくて私たちが盛大に笑うと、それから毎朝私たちを見つけて、
No Ki Mo〜, May, How are you?
と大声で挨拶してくれるようになりました。
なかなかメンバーの輪に入れない私たちですが、彼のおかげで皆との距離も縮まったように思います。
マオリの血を引くGina
ニュージーランド出身でマオリ血を引くGinaは,この旅に一人で参加していました。
当時19歳だったGina。
私たちと歳が近くアジア人に対して理解があったので、英語のできない私たちを沢山フォローしてくれました。
そんな優しいGina ですが、一緒に行動しているときに一度だけヒヤッとした経験があります。
たしかパリからニースに行く特急電車の中だったと思います。
ガラガラの車両内は私たち4人とGinaの5人だけでした。
突然、隣の車両からいかにもガラの悪そうなフランス人が3〜4人入ってきて私たちに絡んできたのです。
フランス語なので何を言っているかわかりませんでしたが、明らかに私たちをおちょくっている雰囲気でした。
日本人4人は怖くて下を向いてうつむくばかり。
私も怖くて怖くて、静かにしてやり過ごそうと思っていました。
そんな私たちと対照的にGina は
Axxhole…
(英語のスラングで基本的には使ってはいけない言葉です)
と彼らに聞こえるか聞こえないかの声で言ったのです……!!
Gina~~~!!!(泣)
だめだって、刺激しちゃ~~(泣泣)
わたしは半泣きで状況を見守りました。
万が一フレンチヤンキーが
手を出してきたらどうしよう……
ガクガクしながら心の中で祈り続けました。
早くどっかいってくれ(泣泣泣)
フレンチヤンキーたちはひと通り絡んだら気が済んだのか、隣の車両に戻っていきました。
この旅で唯一あった肝を冷やした体験です。
生きた心地がしませんでした。
ニースでDancing Queen!
ニースでの夜、ツアーメンバーで近所のバーに飲みにいくことになりました。
到着したのはバンドの生演奏がある雰囲気のよいバーです。
普段飲み歩かない私たちも、この日はメンバーと一緒に楽しむことに。
お酒がまわり宴もたけなわなころ、バンドがABBAの『DANCING QUEEN』を演奏し始めました。
それをきっかけにメンバーのテンションは一気に最高潮に!
なんと土足のままテーブルに上がって踊りだしたのです!
え、ちょっとまって、土足ですけど?
気にしている人は誰もいない、バーの店員すら誰も止めません。
最初はためらっていた私たちも、誘われるがままにテーブルの上に
あがり踊り始めると……
めちゃくちゃ楽しかった!!
日本では絶対やらないことも、海外だと自分の殻をやぶってできちゃう。
こういう経験があるから海外体験はやめられません。
言葉の壁でメンバーの輪になかなか入れなかった私たちですが、お酒と音楽の力を借りて、この日はみんなとの距離を少し縮められました。
大麻合法の国へ、そしてS〇Xショー
Coffee shop とSpace Cake
フランス、イタリア、スペイン……
バスは順調に進みオランダに入国することに。
オランダに突入する直前、ツアーガイドがいつになく真剣な表情で話し始めました。
いつもの通り何を言っているかいまいちわからずポカーンとしている私でしたが、なにやら注意喚起されてるな、というのは雰囲気で伝わります。
スパイス?スペース?ケーキとか言ってる?
それにやたらコーヒーショップの話をしている。
さすがの私でも繰り返し出てくる単語はキャッチしていました。
ツアーガイドの話が終わると、Gregや周りにいたメンバーが真剣な表情で私たちに話しかけてきます。
普段あまり話したことのないメンバーですら声をかけてきました。
え、なに?みんなどうしたの??
戸惑いながらも一生懸命聞き取ってみると、
Coffee shopの看板を見たらマリファナを売っている店だから注意しろ
Space cake というケーキはマリファナ入りだから食べるな
ということでした。
あとから理解したのですが、オランダでは大麻が合法だがあくまで自己責任で、というのがツアーガイドからの指示だったようです。
ですがオージーたちは危なっかしい私たちを子ども扱いしていたので、
お前たち、大麻なんてやるなよ
気をつけるんだぞ
と注意してくれていたのです。
みんな、本当に優しいですよね。
オランダ滞在中、私たちは大麻には手をだしませんでした。
みんなもやらないのかと思ったら、私たちに注意喚起してきたオージーたちは普通にやってました。
自分はやんのかーい
そう思って眺めていたのを覚えています。
S〇X show
アムステルダムでの思い出を語る上で無くてはならないエピソードがあります。
「夜のエンタメ」に関してです。
アムステルダムでのアクティビティに「S〇X showを観る」というオプションがありました。
特に予定もなかったので私たちもそのオプションに申し込みました。
S〇X show といっても、せいぜい踊り子が踊る程度のものだろうと思っていましたし、いい社会見学になるかと思って。
連れてこられたのは日本でいうところの新宿歌舞伎町……よりももっと過激な場所でした。
江戸時代の吉原遊郭のように、道沿いにショーケースが並び、セクシーなお姉さんたちがまるで見世物のようにそこに収められていました。
そんなピンク街を抜け、映画館のような劇場にはいりS〇X showが始まりました……
ショーの概要は以下の通りです。
【注】以下、婉曲に表現しますので、各自頭の中で翻訳してください。
~~~~~~~~~~
最初はお姉さんが半裸で踊る程度でした。
次第にお姉さんは道具を使い始めます。
なにやらいろいろなものを
自分の体に入れたり出したりしたのです。
次に、観客席の男性を一人指名しました。
あろうことか、ツアーメンバーの中でもダントツにおとなしそうなメガネ君を指名。
メガネ君(オージー)は踊り子のお姉さんに手を引かれステージ上に上がります。
メガネ君はお姉さんの言いなりです。
お姉さんはメガネ君の頭に疑似的なstickを装着します。
そして四つん這いになるように指示しました。
お姉さんは立っています。
メガネくんはその状態で、頭につけた疑似的なstickが、お姉さんの中に入ったり出たりするように首を動かします。
~~~~~~~~~~
ただただ、あっけにとられました。
役目を終えたメガネ君は皆に称えられながら客席に戻ります。
さえない彼はこの瞬間からヒーローです。
日本では女性がこの手のショーに行く機会は少ないと思いますが、ここでは男女問わず大盛り上がり。
そのあとマッチョなお兄さんもステージ上にでてきてお姉さんといろんなことをし、最終的に一体になって去っていきました。
刺激的なアムステルダムの夜はこうして更けていったのでした。
旅の終焉、別れ
21日間は長いようであっという間です。
私たちの旅は21日前にバスが出発した地、ロンドンに再び戻ってきて終焉をむかえます。
ともに過ごした仲間との別れは涙、涙、でした。
危なっかしい私たちを支えてくれたGina やGreg、ツアーガイドやドライバーに伝えたいことがたくさんありました。
ですが口から出てきた言葉は”Thank you”だけ。
そもそも英語が話せない上に感情の高ぶりも重なって、想いが言葉になりません。
気の利いた言葉が私の口から出て来るわけもありませんでした。
その時に思ったのです。
絶対に英語が話せるようになる!!って。
あれから四半世紀経った今でも、私は四苦八苦しながら英語を学んでいます。
それはこの時の想いが今もまだ私の中にあるからです。
悔いが残る海外デビューになりましたが、あの時コンチキツアーに参加して
本当に良かったと思っています。
特に高校生・大学生など若い世代には海外の文化や価値観に触れる経験をしてほしいです。
もちろん、海外が合わない人に無理強いするつもりはありません。
ですが、もし少しでも海外に興味があるのであれば、ぜひ若いうちに一度日本の外に出てみることをおすすめします。
できれば添乗員の旗についていくような旅でなく、世界中の人と交流のチャンスがあるような旅や中・長期滞在に。
違う価値観に触れ、文化に触れ、日本にはない食べ物を食べて、刺激的な経験をして、心が震えるような交流を味わってください。
育った環境、背景が違っても分かり合える人がいることに驚くかもしれません。
自分がいかに狭い世界にいたか、気がつくこともあると思います。
働き始めるとなかなかまとまった休みは取りづらくなります。
就職するまでにぜひ!
~~~~~~~~~~
帰国の際、ヒースロー空港の売店でABBAのベストアルバムを購入しました。
ニースのバーでテーブルに上って踊った思い出の曲がたくさん入っていたからです。
今でもABBAを聴くとあの時のことを思い出します。
きっとこれからもずっと。
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