キリンビールとアサヒビールの販売戦略と仮説の差
キリンビールの戦略
キリンビールは、長年にわたり居酒屋やレストランを重要な販売チャネルと位置づけてきました。特に、酒屋との関係が強く、居酒屋への卸売が主な収益源でした。このため、コンビニエンスストアやディスカウントストアといった新たな販売チャネルには積極的に参入せず、従来の流通網に依存していました。彼らは「ビールは外食で飲む」という需要を中心に据えていたため、家飲み用としての販売には注力しませんでした。
アサヒビールの戦略と仮説
一方で、アサヒビールは消費者のビール購入傾向が変化していることに着目しました。彼らの仮説は、「消費者はこれまで百貨店やスーパーで購入していたビールを、手軽さからコンビニやディスカウントストアで購入するようになっている」というものでした。特に、忙しい生活を送る都市部の消費者が、帰宅途中に立ち寄れるコンビニでビールを購入し、そのまま自宅で楽しむ傾向が強まっていると見て、新たな販路を開拓しました。
結果
アサヒビールの仮説は的中しました。消費者のライフスタイルの変化により、ビールを酒屋でまとめて購入し、届けてもらうといった従来の購買行動は減少し、代わりに「その場で飲みたい分だけを購入する」という消費行動が主流となりました。アサヒはこのトレンドに素早く対応し、コンビニやディスカウントストアでの販売を強化しました。これに対して、キリンは従来の流通戦略に依存し続けた結果、消費者の購買行動の変化に追随できず、相対的なシェアを失いました。
収益性の違い
この戦略の違いは、両社の収益性に大きな差を生みました。アサヒは「アサヒスーパードライ」の成功とともに、コンビニでの販売を強化することで、急速に市場シェアを拡大し、国内ビール市場のトップに立つことができました。一方、キリンは主要販売チャネルとしての居酒屋が相対的に弱体化し、家飲み需要を捉えられなかったため、シェアの減少を余儀なくされました。
まとめ
このように、仮説と戦略の違いが企業の収益性にどのように影響を与えたかご理解いただけたのではないでしょうか?日々の仕事でも仮説を持ちながら取り組みたいですね。
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