「ストレスを減らす方法」を知らない子どもたち


「コーピング」という言葉をご存じでしょうか?

コーピングとは、何かストレスを受けたとき、
それを軽減させるための方法や手段のことを言います。

コーピングには、次の2つの種類があります。

<情動焦点型コーピング>
回避、静観、気晴らしなど、
ストレス状況に置かれたときに生じる否定的な気持ち(情動)そのものを軽くしようとするコーピング。

<問題焦点型コーピング>
問題の明確化、情報収集、解決策の考案や実行など、
ストレス状況における問題を解決するために
環境や自分自身を積極的に変化させようとするコーピング。

不登校になった子どもたちに、まず必要なのは「情動焦点型コーピング」です。

ただ、情動焦点型コーピングの方法を知らない子は、案外多いのです。


好きな音楽を聴いたり、
運動して汗を流したり、友達とおしゃべりしたり、
おいしいものを食べに行ったり……など、
リラックス方法は、いくらでもあるじゃないか、と思うかもしれません。

でも、それは、
長年の経験から、自分の気持ちをリラックスさせる方法を知っている
大人だからできることなのです。

毎日学校へ行ったり、部活や習い事に通ったり、
塾へ行ったり、宿題の課題をやったり、
そんな狭い世界の中で生きている子どもたちには
リラックスする余裕はほとんどありません。

学校へ行かなくなった子が
ゲームやYouTubeやSNSばかりやっているのは、
そのためです。

多くの子どもたちは、適切な方法で自分をリラックスさせる手段を
持っていないのです。

だけど、大人はそんな子どもたちに「問題焦点型コーピング」で
対応しようとします。
何か嫌なことがあったのか、問題があったのか、それさえ解決すれば
学校へ再び行けるようになるのではないか……

でも、事はそれほど単純ではありません。

実際、私自身も、初めて長男の不登校に直面したときには、
すぐさま「問題焦点型コーピング」に走りました。

子どもから原因となりそうな問題を無理やり聞き出して
学校と折衝して何とかそれを解決して、さあ、これで行けるでしょ?
……と、思ったら、子どもまったく動かず^^;

子どもはがんばってがんばって、疲れ切って動けなくなっているのです。
まずは、心身の健康を回復することが第一だったのです。。。

今となっては、焦る必要なんて何もなかったことがよくわかります。
自分自身が失敗してきたからこそ、
まずは、子どもの心身をゆっくり休ませてあげることに、
大人は注力してほしいと思うのです。


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