インハウスの広報出身者が、PRの業務代行を行わない理由
私が会社を設立してから徹底していることは、「PRの業務代行は行わない」ということ。10年以上インハウスで広報経験を積んできた私は、PR業務はもちろん得意分野です。しかしPR単体の業務代行はお断りしています。
今回は、その理由について書いていきたいと思います。
インハウスの広報時代に感じた違和感
私は大手からスタートアップまで、あらゆる規模・フェーズの企業で経営企画から広報部門を立ち上げて責任者を経験してきました。
事業目標を達成するための戦略があって、その戦術、手段の1つが「PR」なのですが、なぜか「PR」だけ戦略から外れて単体で捉えられていることが。私が感じた違和感は、ここでした。詳しく話していきます。
例えば、
・経営課題を解決したい
・事業を拡大していきたい
という目的があるとします。
すると、そのあるべき姿を見据えて、採用強化したり、営業やマーケティングを強化したり、資金調達をしたりと事業戦略に伴って1つ1つの手段をとっていきますよね。
これは、PRも同じなんです。でもなぜかPRとなると、単体の「点」の施策で捉えられがち。そして将来を見据えて進めていくべきところを、「今」しか見ていない。そんなパターンは少なくありません。
わかりやすく説明すると
「この情報をメディアに取り上げてほしい。広告料は高いから支払わずに、広報マターで動いてほしい」
もちろん言いたいことはわかるのですが…PR活動は広告費を支払わずにメディアに出れる魔法ではありません。即効性はなく、地道に各メディアや企画に沿ったものを考え、何度も練り直し、取り上げる価値を感じていただき初めて形になるものですよね。
そうしたときに、必ず問うのがメディアに取り上げてほしい理由、そこから期待することは何か。そもそもの目的が明確にできていることは少なくないようです。
PRを強化する前に、やるべきこと
PRを外部(PR会社やフリーランスPRなど)に業務代行を依頼したことがあるけど、「なんかうまくいかない」「費用対効果がよくわからなかった」という声を聞くことがあります。
その理由は明確で、企業側が何のためにPRを強化して、露出から何を目指していきたいのか、目的がクリアになっていないケース。(もしくはそのクリアになっている目的や背景を、PRパーソンのビジネス経験値によっては理解ができない可能性もあります。一例として捉えてください)
事業成長の促進のために、1つの手段として、PR活動がある。成果を出すためには、そもそもの「目的」と目的達成のための「戦略」がないと依頼する業務代行の内容もクリアにならないはず。
しつこいようですが、PRは手段の1つ。
まずその前に、最低限やるべきことは
この3つの視点で整理していくと、あるべき姿に向かって「今」やることが明確になっていきます。
例えば、すぐに数字を獲得していきたいという即効性を求めるのであればPRではなく、広告・マーケティングを強化した方が良いでしょう。
ブランド醸成していくためには、上記とは別軸で考えます。継続的なPR活動でブランドメッセージの発信を絶やさず続けていき、時間をかけてブランドを育てていく必要があります。
着手するステップ
PRは、手段のひとつ。(しつこい)
私がご支援する際には、必ず事業戦略から営業やマーケティングの状況もすべてお伺いします。そのうえで、ブランド戦略やPR戦略を構築して伴走していきます。
着手するステップとしては
このように根本の課題を明確にし、戦略や戦術を構築したうえで、PRという手法を活用して強化していきます。
こうした視点をもつPRパーソンが経営メンバーにいると、スピードもアウトプットも違ってくるはず。当社が経営レイヤーから入るのは、この理由からです。
ブランディングは、地道に時間をかけて醸成していくもの。
ブランドが醸成されて、一つ一つの施策が点ではなく線となり面となり、成果が積み重なり、最終的に売上といった数字に繋がっていくもの。
そう、個人的な経験から感じています。