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キリンを作った男

友人の永井さんが書いたのかと思ったら、同姓同名らしくw でも、気になったので読んでみました。キリン一番搾りハートランドマーケティングに関する物語です。

キリンはビール業界における「圧倒的No.1企業」だった。72年から「ハートランド」発売前年の85年まで、キリンのシェアは常に6割を超え、最大で76年63.8%、「ハートランド」発売の86年でも59.9%とほぼ6割を維持

スバルは定性的な調査手法の「エスノグラフィー」を駆使しているとされる。エスノグラフィーとは、調査対象の内側に入り込んで観察し、いわゆる「インサイト」(消費行動の核心となる心理)を見出していく手法

ハートランドの商品コンセプト
「素(もと) = もの本来の価値の発見」

5つの時代原理
1.個としての確立を目指す時代
2.能動的情報判断力を目指す時代
3.人間の感性を再開発する時代
4.新しい本物が求められる時代
5.Less is More (過剰装飾、過剰機能の商品より、無駄なものを取り去ったシンプル、ナチュラルが求められる)になる時代

「ハートランド」には、「お客様に見つけさせる商品」という「裏コンセプト」があった。「ハートランド」は、量を売る商品でなかった。質で「ラガー」を上回ること

口コミの6つのポイント
1.一つの商品にたくさんの情報価値=語りたくなる、伝えたくなる価値を盛り込む
2.発信しようとする情報を受け手の身になって考える、整理する
3.時代を読む
4.関与者を多く作る
5.即効性のあるメディアほど情報感度は鈍い。雑誌→新聞→ラジオ・テレビの順番を意識する
6.追いかけるより追い駆けさせる構造を作る

「お客様は、予定調和的なものには魅力を感じませんが、あまり先を行き過ぎた物もダメ。手の届く幸せではありませんが、手の届く満足、手の届く憧れ、これがよく言われる「等身大の半歩先」「大衆と先端」の両方が分からないと落とし処が分からない

越権」と思っていると、なかなか他人の管轄に踏み込み、あれこれ意見を言うのは難しい。何らかの行動を起こしたとなると嫌がられる。縄張り意識や権利意識の強い人がリーダーでいた場合には険悪な状況になることさえある

ロングセラーの条件 一番搾りの方向性
1.企業の思い入れが感じられること
2.オリジナリティがあること、二番煎じではダメ
3.本物感があること
4.お客様が得した感じを抱けること。要するに経済性。日本の消費者は経済性が好きで、メーカーはその分、損をしがち
5.親しみやすさがあること。個性が強すぎるものは嫌われる

会社がぐらついている時には、正しい意見より、声の大きい人の意見が通るもの。中身がともなった意見より、インパクトのある意見の方が採用されがち。

同質性の強い組織が、必ずしも「悪」ではない。同じカルチャーを共有する組織は、目標に向かって一致団結しやすいという利点もある。はっきりとした目標があり、それに向けてキャッチアップしていく時代には、組織が一丸となって働く方が有利

「一番搾り」ロングセラーの5つの条件
1.企業の思い入れ
2.オリジナリティ
3.本物感
4.経済性(お得感)
5.親しみやすさ

特に3.4.の要素を大事にしていた

「残念ながら使いものにならなかった場合は、さっさと外したほうが本人のため。何もその人の人格や能力が全部ダメというわけじゃない。あくまで、新製品の開発や、ブランドのマネージメントには向いていなかった

マーケティングとは、商売そのもの「経営の本質」だった。ヒット商品を作るための単なるノウハウではない。「いつもお客様を見ろ、お客様がすべてを決めてくれる」

キリンの前田さんは、「本質と信念の人。つねに流行を追っているけど、それで『本質』を見失うことはない。『本質』とはお客様のこと。会社の都合などは二の次

キリンでマーケティングの天才と言われた前田さんの商品を産むヒットの秘訣が物語として、よく分かります。マーケティングの参考になる1冊でおすすめです!


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