2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ
東洋経済の特集 ベストブック2021で1位になっていたので、これは読まなきゃと思い、買って読んでみました〜。10年後は加速する未来がわかる予測本です。
高速なコンピュータを使って開発し正のフィードバック・ループが生まれ、加速のペースが一段と加速する。カーツワイルは、「収穫加速の法則」と呼んだ。
人類が創造した中で最も強力なイノベーションがいくつもある。量子コンピュータ、人工知能(AI)、ロボティクス、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、3Dプリンティング、AR/VR、ブロックチェーンなど。
人間の脳は、ローカル(地域的)でリニアな環境で進化してきた。ローカルとは1日あれば歩いていける範囲で起きたこと。リニアとは、環境の変化が極めて遅かったという意味。今の世界はグローバルでエクスポネンシャル。
ウェイモは、配車サービスの開始に備えて2万台の自動運転仕様のジャガーを購入。2020年に1日あたり100万回の配車を目指す。ウーバーは1日1500万回の配車を実施している。自動運転車の走行距離が伸びるほど、多くのデータが集まる。
自動運転のトレンドは、いずれも破壊的変化をもたらす。しかしもっと大きな2つの変化があり、それに比べればかすんでしまう。1つは「非収益化」2つ目は「時間の節約」
ハイパーループは2023年の認可取得を目指している。最大1200km/hで走行しカルフォルニア州を35分で横断できる。2025年までに複数プロジェクトの建設を進め、乗客を乗せた試験走行も実施する計画。
ユニコーンが誕生するまで、「いいアイデアがあるぞ」から「10億ドル企業を運営している」まで、20年かかったが、今日では1年の冒険で到達できるケースもある。
エクスポネンシャル・テクノロジーの6つのステージ
「デジタル化(Digitalization)」
「潜行(Deception)」
「破壊(Disruption)」
「非収益化(Demonetization)」
「非物質化(Dematerialization)」
「大衆化(Democratization)」
量子コンピューティングの進化を理解するうえで不可欠
1940年電話ネットワークが広がり始めた0Gが潜行段階。1Gに到達するまでカメの歩みで40年かかった。1Gは1980年に登場した携帯電話ネットワークで破壊ステージに移行した。90年代に2Gが到来し、10年後には3Gにより加速し、2010年にはスマートフォンによって4Gネットワークが広がった。2019年から5Gがほぼゼロに近い価格で100倍のスピードをもたらし変わっていく。
ブロックチェーンは、「可能性を実現するテクノロジー」で、デジタル通貨が実現された。お金の取引で2重支出の問題を、ビットコインは解決した。
変化が続くし加速する一方で、3つの増幅要因が重なっているから。1.コンピューティング能力のエクスポネンシャルな成長。2.加速するテクノロジー同士のコンバージェンス。3.7つの推進力の存在。
7つの推進力は、
1.時間の節約
2.潤沢な資金
3.非収益化
4.「天才」の発掘しやすさ
5.潤沢なコミュニケーション
6.新たなビジネスモデル
7.寿命を延ばす
今日世界がハイパーコネクテッド化したことの副産物の1つが、圧倒的天才が階級、出身国、文化の犠牲者にならずに済むようになったこと。
20世紀にはだいたい10年に1度、大きなビジネス変革が起きていた。1920年には「釣り餌商法」が生まれ、安価な商品に延々とレフィルを買わせる仕組み(剃刀と替え刃)、1950年にはマクドナルドなどのフランチャイズモデルが生まれ、1960年にはウォールマートのようなハイパーマーケットが生まれ、1990年にはインターネットの登場で劇的な進化の時期を迎えた。
スマートネス・エコノミー
既存のツールに「スマート」のレイヤーが加わる。携帯電話はスマートフォンになり、ステレオスピーカーはスマートスピーカーになり、自動車は自動運転車になる。
トランスフォーメーション・エコノミー
スターバックスはコーヒーショップではなく、「サードプレース」人生を過ごすための第3の場所。コーヒー1杯を買うのが経験になり、カフェイン入りテーマパークという存在になった。単に経験にお金を払うのではなく、その経験を通じて人生を変えることにお金を払う。
eコマース革命はまた始まったばかり、ネット売上は2009年第一四半期の340億ドルから2017年第三四半期には1150億ドルに成長したものの小売全体の10%を占めるに過ぎない。ネット接続人口は2017年の38億人から2025年には82億人に達する。
3Dプリンティングは、4つの面で小売業のあり方を変える。
1.サプライチェーンが消える
2.ゴミが消える
3.交換部品が消える
4.商品はユーザーがデザインする
老化はプログラム化されたプロセス。特定の種の生存期間が永遠続かない方が、進化にとっては好都合。若い世代にリソースを使わせるには、老いた世代が道を開ける必要がある。
旧石器時代から産業革命までは人生30年時代だった。20世紀に入ると抗生物質の登場と衛生の改善で、1950年には平均寿命48歳に、2014年には72歳まで延びた。寿命脱出速度(LEV)が話題になり科学により、1年生きる間に寿命が1年延びるようになる。カーツワイルは、およそ12年後と考えている。
キャッシュレスの未来
デンマークは2017年に紙幣の印刷をやめた。その前年に、モバイルバンキングを推進すると同時に、国内のグレーマーケット(非合法的市場)部屋の資金供給を断つ狙いから、インドが現金の86%を回収している。ベトナムは2020年までに小売業の90%をキャッシュレスにしたいと考える。スウェーデンでは、取引の80%がデジタル化されておりまもなく100%になる。
2050年に90億人の胃袋を満たすには、2009年よりも70%多くの食料が必要になる。その大部分は肉が占める。2050年までに世界の肉の消費量は76%増加すると予想される。
ラッダイト運動家たちが繊機を巨大ハンマーで撃ち壊していた1800年代初頭から、労働者は消滅の危機だった。アメリカでは国民の90%が農業を生業としていた。現在は2%を下回っている。新しいものに置き換わる雇用の方がはるかに多い。
インターネットは破壊した雇用の2.6倍の雇用を生み出した。GDPは10%拡大し成長は続いている。
エストニアは、公共サービスの99%がオンライン化されており、ユーザーフレンドリーなインターフェースもある。5分で納税でき、せんきょは世界中のどこからもでき、自らの医療情報はブロックチェーンで保護された分散型のデータベースで入手できる。煩雑な手続きが減少し、800年分の作業時間を節約できたとされる。
VRの鍵はフロー状態
フロー状態とは、自分が最高の状態にあると感じられ、最高のパフォーマンスができる最適な意思状態。通常の現実よりも楽しく充実した別の現実を生み出す能力を手に入れる。
進化の過程で植えつけられた最も強力な認知バイアスの1つが「損失回避性」現在手にしているものと引き換えに、未来に何か新しいものが手に入るとしても、後者のほうがずっと価値が低いのではないかと疑念を抱く。
学びには2つの核となる要素がある。1.心理的なもの。2.物理的なもの。心理面では「フロー」と呼ばれる意識状態に入る方法を身につけ、パフォーマンスを大幅に高める。スピードとスケールは、エクスポネンシャルな世界で成功するための認知的必須条件。物理的側面もテクノロジーに関する学びが必要。
ゼロ・トゥ・デンジャラス 世界有数のフロー・テクニックのトレーニング・プログラム
最高のパフォーマンスを発揮できる「フロー状態」に入る方法を取得する、起業家やリーダーのための研究に裏づけられたトレーニング・プログラム。
テクノロジーに関する各分野で、どのような地殻変動が起こっているのか、俯瞰的に把握するのにとてもよい入門書になります。今後10年で具体的にどのように加速が行われるのか?今、加速が起きているのか、様々な角度から見れるので、とても参考になりおすすめの1冊です。