非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
アカデミア同志のdof 齋藤太郎さんが、書籍を出したと聞いたので気になって読んでみました〜
言われた通りに提案しない、相手のビジネス(利益)を考えて提案する。時には広告出稿も行わない。広告業界だけでなくSI業界でも同じことが考えられ、ビジネスの課題解決ヒントがたくさん書かれています。
一般的な方法では、モノやサービスがなかなか消費者に受け入れられなくなってきている。クリエイティブなスキルやマインドは、多くのビジネスパーソンにとってビジネスで勝つための必須要素になってきている。
「どう他と差別化できるか」「違うメッセージをどう見つけるか」を考えるしかない。場合によっては、「広告を打たずにどうモノを売っていくか」という新しいアイデアが求められるようになってきている。「ビジネスのクリエイティブ」の重要性が高まっている。
クリエイティブディレクターとは、課題の本質を見つけ出し、仮説を立て「みんな、こっちだ!」「ここを掘ろう」と解決策に向かって指示出しをし、成功に向かってチームをまとめていく人のこと。
広告は目的ではなく手段
北海道のお土産定番、ヒグマが家の玄関にあり四つん這いになっているヒグマがある日、二本足であっていたとしても誰も気がつかない。広告も同じようなもの。あくまでも課題解決のための手段であり、目的ではないということは、常に心に留めておく必要がある。
課題解決の3ステップ
1.「課題の本質を見つける」
必要なスキルは、「探る」「聞く」「見る」
2.「仮説を立てる」
「想像する」「考える」「生み出す」が求められる
3.「解決策につなげる」
「動かす」「選ぶ」「伝える」スキルが必要
オリエンの話を鵜呑みにしない。クライアントの言う課題を一度疑ってみて、フラットな目線で考えるようすること。
広告「=広く告げる」の前に、まずは商品だったり、採用だったり、組織だったり、売り場だったりを整えることが大事であることもある。「テレビCMよりも先にやるべきことが他にある」というケースはとても多い。
業界初が、必ずしも世の中の人にとって驚くべきものになるわけではない。狭い範囲の中での「差別化」だと言われているものについて、もう少し世の中全般としてどんな便益があるか、突っ込んで聞いてみることは、クリエイティブディレクターにとっても重要。
とっておきのキラークエスチョン
「この商品で世の中はどう変わりますか?」
「うむくいったときの世の中は、どうなっていますか?」
「この商品が当たり前になったとき、5年後はどうなっていますか?」
3つの眼で見る
「鳥の眼」 俯瞰してものを見る
「虫の眼」 近づいて見る
「魚の眼」 流れを見る
「Zoomはもはや常識」と考えしまうのは早計。日本全国で言えば、実際オンライン会議をやったことがあるのは、おそらくまだ2〜3割くらいで、自分でリモート会議を開催できる人となったら、1割もいかないかもしれない。
大きな目標があり、その解決策をセットで提案すれば「なるほどこうやっていけばいいのか、いけるかも」と相手も乗る気になってくる。「こうなったらいいな」という未来を描く行為は、クライアントにとってもとても楽しいプロセス。
お金を払っても解決できないハードルがたくさん出てくる。はっきり言って、これを超える方が大変。大事なのは、そこから逃げないこと。乗り越えなくてはならない困難や面倒があっても、上流まで遡り、そこで知恵を絞り、汗をかき、手を打ち続けないと、本当の課題解決はできない。
「一言で言えば、それって何?」
その商品やサービスの存在意義や価値を定義すること。「タグライン」をつける。ターゲットにとっての便益が理解できるもの、ターゲットがありがたいと考えること。ポンと腹落ちできるもの。誰にとって、何が魅力的なのかが、パッと見て理解できるもの。
法人の人格
必然的に新しい会社だったり、攻めている会社ほど、表現はチャレンジになり、歴史とか伝統がある会社はしっかりした表現になっていく。
自分たちのチームだけでなく、クライアントも含めて、「dofさんと仕事をすると楽しいね」と思ってもらえることは極めて重要。みんなが同じ神輿を担ぎ、それを楽しめる空気をどう作っていけるか。それが問われる。
「事件化する」という仮説がディスカッションされていく中で、「動詞にする」というアイデアが出てきた。「ポケトークする」では、何のことか分かりにくい、「世界と」がくっついた、「世界とポケトークしよう!」というキャッチフレーズができあがった。
雑談をきっかけに「どうして流行ったのか」「いま、この世の中で何が受けているのか」という話になり、この要素が企画に盛り込まれていく、なんてことはよくある。雑談は、決して時間の無駄ではない。クリエイティブな発想を刺激するためにも堂々と雑談をしていい。
絶対評価のバーを持つ
「ダメなものはダメ」と、きちんとその場で判断できる勇気。絶対評価をするという意識。人間は、相対評価をしてしまう生き物。妥協せず、解決策を決めるときに大事なことは、「求める品質レベルにたっしているかどうか」
「私たち自身がディスカッションや相談をしながら決めた」という流れにした方が、クライアントも強く当事者意識を持つことになり、プランが自分たちのものになりやすくなる。お互いの理解の度合いやスピードがあった状態で企画を進めることが可能になる。
論破は誰も得をしない
結局のところ、ビジネスにおける課題解決のゴールは結果を出すことであり、クライアントを、いい方向に誘導していくこと。必ずしも自分が論破しなければいけないわけではないし、コミュニケーションにおいて勝たなくてもいい。その場の議論に勝つことに、さして意味がない。
財務諸表は会社の通信簿
広告代理店は、粗利が10〜20%くらいしかない。最終的な営業利益は5%以下だったりする。業界によって構造が違うし、業界の中での、その会社の立ち位置や規模も見えてくる。
自分の財布の中身がどのくらい入っているかがPL(損益計算書)。その結果、貯蓄や資産はどれくらいありますか、というのがBS(貸借対照表)。今、自由に使えるお金がどのくらいありますか、というのがキャッシュフロー
流行は常に押さえておく
アウトプットする力は、インプットの量に比例する。インプットの量と質と幅は極めて重要。流行っているものは、とりあえず押さえておくべき。魚の眼、鳥の眼を鍛えるためにもマスト。
インプットにアウトプットを伴わせる。人に話したり、ブログに書いたり、SNSで発信するとなおいい。大事なことは、「自分がどう考え、どう感じたか」をはっきりさせること。
いい友達や仲間がまわりにいると、どんどん良いスパイラルになっていく。「人は最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均になる」
「ギブ・アンド・テイク」何かを与えられたら代わりに何かをもらう。先にギブをすること。情報も協力も「ギブ・アンド・ギブ・アンド・ギブ・アンド・ギブ」くらいの与え続けるつもりでいい。結果的に自分に戻ってきたか分からなかったとしても、いずれどこかで戻ってくる。
「たらいの水」理論
たらいに水を手で押し出すと、どこかに壁があるから絶対に戻ってくる。ギブすれば、たらいの壁に当たって、いつか戻ってくる。
広告業界のクリエイティブだけでなく、すべてのビジネス上でとても参考になるトピックスがたくさん書いてあり、ハイボールなどの秘話も詳しく書いてあり、クリエイティブのノウハウがたくさん詰まった1冊で、非クリエイティブの人、ビジネスを行う人、すべての人が読んでとても参考になる1冊でおすすめです。
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