これぞCool Japanというべきドラマ「大豆田とわ子と3人の元夫」
いつもながらこんなに面白いドラマなのに、リアルタイムで見逃してしまっているわたし。そして、それを、日本のドラマ制作体制の宣伝力のなさにするわたしの愚痴と感想を記したい。
見どころ1 今を表すおしゃれな「こなれ感」
<ストーリー>
建設会社「しろくまハウジング」社長、大豆田とわ子には3度の離婚歴がある。ある日とわ子は亡くなった母が使っていたパソコンのメールソフトに設定されたパスワードロックを解くため、設定したと思われる元夫たち3人(田中八作・佐藤鹿太郎・中村慎森)に連絡を取る。
それをきっかけに、3人の元夫との交流が再開するのだった。とわ子は慣れない社長業に苦慮しながらも「幸せになることを諦めていない」と元夫たちに宣言する。親友・綿来かごめとの同志愛のような友情や、新しい恋の相手である小鳥遊大史からのプロポーズ。元夫たちは、結婚時に輝くような時間を過ごしたとわ子への未練が共通体験となってか、何とも奇妙な連帯感を持つようになり、やがてそれは友情へと変わっていく。
そんなとわ子と元夫たちの日常の出来事を粋な会話劇でみせるこのドラマは、女性の自立、友情、結婚、離婚、家族関係を描いたヒューマンドラマだ。
このドラマの「こなれ感」は、なんといっても、脚本家が坂元 裕二(あの「東京ラブストーリー」の脚本家。わたしは、柴門ふみの湿った情感の原作をトレンディに焼き直したのは彼の脚本の力だと思っているので)だからだろうけど、その脚本をさらっと演じて見せるキャストの演技力の高さに、今更ながら驚いた。
見どころ2 魅力的な登場人物
3人の元夫役の松田龍平、角田晃広、岡田将生、の絶妙な掛け合いがこのドラマの見せ場の一つとなっていて、その中心にいて、3人からの未練を一身に集めるモテモテの大豆田とわ子役には、松たか子が扮している。
松たか子といえば、ドラマに映画に舞台に大活躍で代表作はあまたあり、そしてアカデミー賞受賞会場で歌まで歌ってしまうという、その美貌も才能も出自も、日本の国家代表とでもいうべき女優である。そしてまた、この大豆田とわ子という魅力的なキャラを代表作のひとつに加えたわけだから、つくづく運に恵まれた女優さんだなあと思う。
大豆田とわ子は社長だが、社員40人くらいの会社の雇われ社長に実力でなったわけだし、3回も結婚しているが元夫はみんないい人だし、ソウルメイトと呼べる親友もいる。なにかとストレスは多いが、それも今を精一杯正直に生きてる証拠だ。そんなところが、等身大のアラフォー世代の好感と共感を呼ぶんじゃないだろうか。
東アジア文化圏のなかで、押されっぱなしの日本ドラマだが、「大豆田とわ子」という魅力的なキャラクターを作り上げただけでも、日本のテレビドラマの底力を見せてくれたと思う。
わたしの「不惑の韓流女優シリーズ」で取り上げた女優さんたちだって、このドラマの韓国版リメイクをやりたがると思う、まだ、韓国ドラマには登場してないキャラだしね。
3人の元夫たち、みんな上手いが、わたしのお気に入りは、やはり岡田将生かな。もちろん、松田龍平も角田晃広もいい味出しているが、やっぱり胸キュンパートはこの人だ、本当に演技上手くなったよなと思う。イケメンだし、東アジアエンタメ界で、韓国勢とも十分渡り合えると思うのだが。
大豆田とわ子の親友であり、微妙な三角関係の一方の主役でもある綿来かごめ(わたらい かごめ)を演じるのは 市川実日子。彼女がこんなにいい女優だったなんて。周囲から浮きまくっている変わった女の子だけど、わたし(とわ子、それと視聴者)には理解できる、いや理解したいと思わせてしまうような、かごめの存在感を、さらっと演じている。
そして、大豆田とわ子の新しい恋の相手の鳥遊大史(たかなし ひろし)
演 じるのはオダギリジョー。これがまた、どんなに変人を演じていても、相変わらずのカッコよさだ。
見どころ3 エンパワーをもらえるドラマって?
このドラマはの秀悦さは、①大豆田とわ子がいかにモテモテでいい女であるか、を描いていて②そんな彼女に共感するのは自分と同じだからだと視聴者は思うわけで、③だからあなた(視聴者)はいい女なんだ、という①から③への無限ループでなんだか元気をもらえるという究極のエンパワーメントにあるのではないだろうか。私の勝手な解釈です。
まあ、しかし、新しい恋の相手にオダギリジョーまで出てくると、さすがに「とわ子はわたしだ」とは言えなくなってくるが。そもそも、最初からわたしではないのだが…。
ドラマを観ている間は、なんか自分とシンクロしてくるような錯覚を持つわけで、かつて赤名リカと自分をシンクロさせてた頃を彷彿とさせるマジックがこのドラマにも効いているのだ。いい意味で。
ドラマのセットも音楽も衣装もセンス良く、韓国ドラマに比べると低予算なのに、日本のドラマはやっぱり粋で洒落てるんだよなあと思った。
つくづく、もっと宣伝されて、話題になってればと悔やまれるのだった。
※ネットフリックスで配信されているのに、まともな予告編がないのがなあ・・・。残念。
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