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【教育】子どもたちは話したがっているかもしれない。


小学校教師として働き出した頃から、1番の楽しみは子どもたちの話を聴くことだった。最近は下校の安全性が優先されるので、できなくなったが、放課後の教室や休み時間等に、子どもたちの本音をよく聴かせてもらった。

親あるあるや、先生あるある話、好きな人の話や友達の愚痴。担任である私のモノマネを買って出る勇気ある子もいて、子どもたちと一緒によくゲラゲラ笑って過ごした。この時間は、子どもたちの素直で率直な忌憚のない感性と心で繋がれる、とても大切な時間だった。

振り返ってみると、私は教師4年目から学級の建て直しをしてきた。その結果は、こうした子どもたちとの日常的なコミュニケーションを土台とする時間や心の余裕があったことに支えられていた。

1年の終わりに子どもたちから貰う手紙には、多くの子が"話を聴いてくれて嬉しかった"と書いてくれた。子どもたちに、研究授業や学校行事よりも日常の他愛のないお喋りを、礼を言うに値することだと感じて貰えていたことに意外だったが、今の子どもたちも求めているのではないかと感じる。

理由は、学級担任を離れて、数年間生徒指導だけに特化した対応をした時期に、不登校の子どもたちと長時間面談を重ねて好きなことや推しの話を聴かせてもらうことが多かったからだ。学校に久しぶりに登校する子や、学級では大人しい子たちもよく喋った後は、何だか気分が良さそうだった。

そんな体験から、私は子どもたちは話を聴いてもらいたいし、話したいと思っていると半ば確信めいた感覚をもっている。そのため、教師が休み時間や放課後を、TODOリストや会議の開始時刻に追われながら、子ども達とのコミュニケーションを二の次三の次にしなければならなくなっている状況は、学校の様々な問題を引き起こす原因でもあると思う。

先日、文部科学省が発表した不登校児童生徒34万人、昨年比1万人増加というニュースを読んで胸が痛んだ。

不登校やいじめの問題等は、根深く課題が多いためサポートが長期間に渡る。小学校では、教育相談主任や生徒指導主任を中心に、担任、管理職、スクールカウンセラー等で支援体制が組まれ、対応方針や進捗状況を話し合う会議を開催する。この会議は、定例会は勿論のこと、臨時開催も頻繁で、かなりの時間を必要とする。こういったサポートチームに長く関わり、専門家の介入に随分助けられた。スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーの存在は本当に心強い。

今後は、裁判に発展する事案や一方的な要求を執拗に繰り返す保護者への対応に備えて、スクールロイヤーの配置を進める動きが出てくることにも期待したい。

子どもたちと長時間教育活動を共にする教師には、学校現場が安心安全な場であることを保障し、授業や教材研究に専念してもらいたい。
日々起きる様々な事案にも、教師や学校が問題を抱え込むのではなく、専門家に委ねて助言を貰ったり、時には戦力となり対応をお願いすることが、教師の多忙化を食い止める一助になると考える。

小学校現場を離れてから、様々な職業の方と出逢う中で、学校にキャリアコンサルタントを配置する動きを起こしているNPO団体の方や、体育等の出前授業を届けているエネルギッシュな方々がいることを知った。彼らとの話し合いの中心話題は、教育委員会との連携が取りにくいことや予算の関係でスムーズに話が進まないという点だ。それでも、学校を外からサポートしていこうとする方々の存在には本当に心救われる思いがする。

私も教師として感じてきたことを伝えていきながら、微力でも声を発していくことが、子どもたちや教師を守ること、未来の学校の在り方をより良くするために何が必要かを考えることに繋がると信じている。そして、子どもたちに、子どもらしく過ごせる安心安全な場として学校を選んでもらえると嬉しい。


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