バーチャル短歌結社・四号線 第2巻第5号(通算15号)2022年5月
・短歌連作「ドライブしよう」
朝街にチキンナゲット落としつつ 傷がないのが罪なのですか?
言い訳をそれも大概バレバレな夏の陽は射る子供の無邪気
苛立って何かを轢いてしまう ふと この雨こそは止まぬ気がする
進歩とは時の経過と比例するわけはなくって明日は平日
回顧とは劣等を喚ぶしぐさかな絶えぬ五月の病を抱え
弔いのあとに余った百合の香もトランクに詰めドライブしよう
音を書くまたは消し去る練習をわたしではなく夕立ちがする
ほっとくと心は不安を探しだすだからさラジオ体操をする
山肌をまるで溢れるホトケノザ性を目覚ますほどの匂いと
ITがあなたを既に奪っても笑みつつふくむトランキライザー
ほとんどを忘れて死する吾につき子の偶然の笑みを狂喜す
夕刻が永遠(とわ)を真似してまのびする五月の窓を薫風が撃つ
大泣きのあとAIはやや老いて「バグはぜーんぶ人間関係」
目覚めずに騙されて知る快楽へアルゴリズムが働いている
悲しみを拾い集めてしまう朝 もう癖なんだね、つらいね。
・雑感
生きていくうえで守らなくてはならないと思ってきた規制が、なんだ、ほとんどがテキトーだったと、一瞬ごとに気づくような、そんなひと月だった気がします。疲れはするけど、けっこういい気分でもあります。完全にオッサン化したなあ、でもわるくもないんだよなあ。
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