バーチャル短歌結社・四号線 第2巻第10号(通算20号)2022年10月
「シュガー・フォッグ・デイズ」
個性とは生きづらくする呪文めく 金木犀の香りが消える
エキュートをすこし離れて眺めればシュガーシュガーと糖が雪崩れる
豪遊をしようよランチならいいよ躓くことが成長なんだ
子の頃は罪の意識があったはずシュガー・フォッグに爛れる夜明け
秋雨がタイヤ置き場をぼこぼこと跳ねて家族は解体された
恋をしていさえすればと促され冬へ苦しくなる独りたち
セレブにはこれからなれよ ウェンズデー・アダムズに憧れる我が娘(こ)へ
満腹のワニが獲物を知らんぷりする清潔をわたしも得たい
大罪はどの背にもあり金色のこの夕暮れも罰のメタファー
後出しのじゃんけんばかり観せられてくたばりやがれ選挙速報
数年も経ずに忘れる人たちと卓ならべ聞く地震速報
夕暮れはあかむらさきで冷たくて触れてもいいと想ってたのに
リコリスが彼岸花ではないことをエイリアンから説かれて温む
ウインナー焦げし匂いの漂いつ運動会の進みて行きぬ
広告の彼も彼女もひらひらと悲しみは眼に溜まるのでしょう
by まつたく
これから年末年始にかけて行事が多く、伴い糖分の摂取量が増えていくのが例年のことなのですが、控えているつもりでも日によってぼーっとすることがあります。SNSでいいねをもらえるのは、ちっちゃなチョコレート一個食べるのに似ている気がして、気分はいいので好きだけど、まあ、ほどほどに関わるのがいいのかなあと思っています。報酬は寝て待つ。そう割り切ることも、時に大事かもしれません。
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