AIは物流現場の仕事を奪うのか
こんにちは、オプティマインド代表の松下健です。
AIが注目されるようになってから久しいですが、「AIは人の仕事を奪うのか」という問いに対してそろそろ向き合う必要があるのではないかと感じる今日この頃です。結論から申し上げると、私は「AIは人の仕事を奪う」と思います。ただし、「AIが代替できる業務に限り、AIは人間から仕事を奪う」というのが正確な表現です。
産業革命の時も「機械は人の仕事を奪うのか」という議論があったと思いますが、そもそもその議論は不毛であると感じます。理想論だと揶揄されるかも知れませんが、「現状の仕事がテクノロジーによって代替可能になっていくことへの抵抗ではなく、人間だからこそできる価値創出に思考を向けよう」と私は思います。
私たちオプティマインドが展開している配車システム「Loogia(ルージア)」も、いわゆるAIに分類されるテクノロジーを駆使することで、現状、手作業で行われている配車業務の自動化を目指しています。
【本noteの要約】
* 物流現場では「どの車両が、どの配送先に、どの順で、どういうルートで回るといいのか」という配車計画を、配車係の方々が考えている。これにより非常に精度の高い配送が実現されている。
* 「配車」もスーパーのレジのように手作業から機械へとシフトすべき。なぜなら自動化しなければ現場が回らなくなる未来が待っているから。
* 配車計画の自動化によって配車係の仕事がなくなるのではなく、コミュニケーションを取る役割にシフトする。
物流業界の「配車」とは?
オプティマインドでは、配送業務における「配車計画の作成」の自動化に挑戦しています。「配車」とは、物流業界とタクシー業界で主に使われる用語なのですが、両者で意味は微妙に異なります。
物流業界の「配車」には以下の2つの業務が含まれています。
・受注量に応じてドライバーさんや車両を「手配」すること
・手配したドライバーさんや車両をどのように配送先に「差し向けるか」の計画を立てること
私たちが対象としているのは、後者の「計画を立てる」部分です。「計画」とは、「どの車両(ドライバーさん)が、どの配送先に、どの順で、どういうルートで回ると良いか」を計算する部分です。
誰でも簡単に配車計画を作成できる配車計画クラウド「Loogia(ルージア)」
「配車」はスーパーのレジ打ちと似ている
「Loogia」を導入したら配車係の仕事はなくなってしまうのでしょうか。「計画を作る作業」は大きく減る、ないしはなくなると思います。一方で配車係の仕事そのものがなくなるのではなく、ミッションシフトしていくと考えます。求められる役割が変わるイメージです。
スーパーやコンビニのレジを思い浮かべてみてください。レジと配車の役割は全く違いますが、どちらも計算部分を担っています。レジは金額を計算し、配車は効率の良いルートを決める計算。両者の「計算」は、どちらもコンピューターのほうが得意な業務です。
ちょっとレジの歴史を見てみましょう。日本にレジがやってきたのは、1897年のこと。それまでは、お店の人が暗算をしたり、そろばんを弾いたりしていました。
暗算も、そろばんも、達人級の人たちがいたことでしょう。レジができてからは、新たに「レジ打ち名人」が登場。。今では、有人レジからセルフレジへとシフトし、レジ係の方も以前より減っています。
では、完全無人化するのかといえばそうではないと思います。中国のとある実証実験では、無人コンビニよりも有人コンビニのほうが売上が高いという検証結果があります。レジを打つ代わりに、接客や陳列レイアウトを考えることが、人間がすべき重要な業務になっているのかもしれません。
計画を作る役割から、合意形成を行う役割へ
レジ係から接客担当になったように、配車係の方も必要なくなるわけではありません。私は、配車係の主な仕事が、「配車計画を立てること」から、ドライバーさんやお客様とコミュニケーションを円滑に取りながら「合意形成を行う存在」へと役割が変わっていくのではないかと考えています。
現場ではドライバーさんに「体調はどう?」と尋ねたり、「あと1件だけ配送してほしいから残業できないかな?」と合意形成をしたり、「今日は娘さんの誕生日だから早めに帰れるようにしておくね」などの社内でのコミュニケーションが超重要です。
また、配送先のお客様に対しても「ただいま道が混んでいて、到着時間が15分ほど遅くなってしまいそうです」といった連絡を入れるなど、配車係の方が綿密にコミュニケーションを取り、関係各所と合意形成をすることで、スムーズな配送が実現できます。
配車計画の自動化により創出される時間は、さらなるコミュニケーションの時間創出に繋がり、配車係は人間にしかできない仕事になっていくと考えます。
なぜ自動化しなければならないのか
よく「物流業界はIT化が進んでおらずダメだ」と批判されることがあります。私は現状、IT化が進まずとも、世界でもトップクラスの品質と精度で物流を回せるほど現場のオペレーションレベルが高いことはすごいことであり、批判するのは違うと思います。その一翼を支えているのが職人さながらの「配送係」の方々です。配送係の方々による正確な配送計画によって、複雑な配送を、少ない人数で回せているのだと思います。
日本の物流業界は、本当にすごいです。
しかし、今が職人技で回っているからといって、将来何もしなくていいわけではありません。未来に待ち受けているのは、EC化の加速による配送の小ロット多頻度化。少子高齢化による人手不足。熟練さんの退職。荷物は増えるのに、支える人が圧倒的に足りない未来では、現状のまま配送し続けるのは不可能となります。故に、物流を持続可能にするためにも、自動化は必須なのです。
配車計画の自動化は、物流現場、物流で働く人、そして未来の世界を幸せにすることに繋がると信じています。「AIは人の仕事を奪う」と言われますが、自動化によって、より正確でより効率の良い計算を可能に。そして人は、人にしかできない仕事やミッションにシフトしていくと信じています。
最後に
IT化や自動化をおこなうサービスは世の中にたくさんあります。その中でもオプティマインドの面白い点は、実際の荷物や、トラック車、ドライバーさんなどの「リアル」が関わっていること。ITの世界だけでは完結できないからこその面白さがあります。
オプティマインドでは、「リアル」を変える面白さを一緒に体験してくれる仲間を募集しています。カジュアル面談も大歓迎ですので、気軽にお声がけ下さい!
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