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DAY2 -離島停電-

薪はあるので炊事は全く困らない。熱帯夜が続いているので停電は関係なく風呂はいつも行水だ。
昨晩は蒸し暑い日だった。日頃からエアコンなし生活だが、扇風機まで使えないとなると流石にきつかった。久しぶりにうちわを使った。腕を動かす熱量よりも、風が体から奪う熱量の方が大きいのだろうか。と、くだらないことを考えながら寝た。

普段は静かな松島も日中は騒がしかった。復旧に向けて作業員が上陸し、台風が近づいていることもあり慌ただしい様子だった。今日は海底ケーブルの中に故障していない電線がないか試すらしい。昨日もこの方法で電線を切り替えたが、数秒だけ照明が光り消えてしまった。

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その後も作業が行われ、正午が近づいた頃だった。急に照明が灯った。作業員にお礼をいい、いきなり日常生活に戻る。
あっけないが、日本の技術力はすごいと感心する。停電から一日半ほどで復旧した。電気無し生活を送れないことに落胆したが、安堵した自分もいる。

あくまでも仮復旧と告げられたが、日常生活には支障がなくなった。完全復旧に向けての工事は11月中旬と告げられている。結果電気が使えなかったのは一晩だけだった。

改めて過疎地域のインフラの弱さを痛感した日になった。特に島ともなれば簡単に復旧できない。山間部の集落と似た境遇だ。将来的にこれらの地域のインフラは維持できなくなっていくのだろう。
そもそも橋も定期船もないような島にいて、電気や水道を使えるということ自体が不自然な気もする。とはいえ電気を使わず水を断つと、衰退、無人島化の一途を辿るだろう。
ひねくれ者の私は電気も水道も使えないとなると高揚するし、ほんの一握りの人々はこれに共感し訪れてくれるかもしれない。
しかし結局は生活と切り離された時間、空間として、自己満足の世界になってしまうのだろう。

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