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【読書感想】 2025年13冊目 「尻啖え孫市(上)」 司馬遼太郎/角川文庫


pp.8--63 赤羽織、お寧々ねね、女の軍略、女房かた

寧々は、日本史上の諸英雄の妻としては、もっとも英気潑剌としていたろう。秀吉が天下をとってからも、天下の大事、大名の功罪、国郡の存廃などについて、軽妙で智恵の光った意見をのべた。・・・

ヒロボー初代社長の妻だった都さんも、寧々のような人だったのだろうと思う。

pp.64--106 出陣、鉄砲衆来着、火術

藤吉郎はそういう機微を心得て、あくまでも草履取りだったときとおなじ「可愛気」を信長に対してふるまっているのである。・・・

可愛げは、人間として最も大切なもの。

射撃には引鉄のひきかたが微妙なもので、まず呼吸を詰め、指さきは、強くなく弱くなく、 「月夜に霜の落ちるごとく」  自然に引鉄を落せ、といわれた。  この「月夜に霜」の表現は、明治、大正、昭和の日本陸軍にまでひきつがれ、射撃訓練での常套文句になっていた。・・・

戦国時代からの教えなんだ。すごい。

pp.107--135 風雲動く

「しかし、ようわたくしが諜者であるとお見ぬきなされましたな」 「揉めばわかるのよ」・・・

どんな接客よりも、柔道の寝技をすれば、相手がよくわかる。

pp.136--148  金ヶ崎退却

(他人のなしがたいところをやらねば、わしがごとき卑賤のあがりは、いっぱしの身分になれぬ)・・・

このバイタリティ!

pp.149--175 鉄砲芸、闇鉄砲

もっとも言葉のわるいのは孫市の欠点ではなく、紀州そのものが日本の方言仲間ではめずらしく敬語の発達にとぼしい土地柄なのである。・・・

紀州は誰か一人に「統一」されたことがない国だからではないかと、どこかで読んだことがある。

た。兵というものは疲れさせれば、どれほどの勇士猛卒でも始末におえなくなるものだ。疲労すれば兵でなくなる、これは将としての第一の心得である。・・・

会社経営でも同じことだろう。

(こいつ、いよいよ変わっている。戦さとは、家を守るか、所領をひろげるか、どちらかの目的でやるものだが、こいつはちがうらしい)・・・

自分の「尊厳」を守るために。これ、大切。

pp.176--188 京へ

鉄砲は引鉄を、  ひそ  と落す。指でしぼるように。  その間、呼吸もとまっている。呼吸どころか、神経も、天地万物の影響をいささかでもうけてはいない。  無の境地で撃つ、・・・

以前福山城で火縄銃(といっても、実際にはそれを模したレーザー銃)を撃たせてもらった時、一発でマトにあたったのに驚いたことを思い出した。

藤吉郎は、権謀術数にあかるい男であったが、それより多く誠実な性格でもあった。  良心が痛む。・・・

藤吉郎(豊臣秀吉)のここは好き。

pp.189--229 姫御料人、すばる星、雑賀へ

紀州根来寺というのは、新義真言宗の大本山で、寺領は約十万石、これをまもる僧兵軍団は三千人、ことごとく鉄砲の射手で、雑賀衆同様、製銃にも長じていた。・・・

本来いのちを尊ぶ仏の道にある者のはずが、なんということだろう。

pp.230--255 雑賀城さいかじょう、和歌浦騒動

浄土真宗は、ふつうの仏教とはちがい、その本質においてキリスト教と似ている。阿弥陀如来を絶対神とすれば、いわば一神教であり、その教えは、 「救われる」  という考えがモトになっている。・・・

なんか、受け入れられないなぁ。でも当時は世相もあって、輝いていたのだろう。

pp.256--269 法専坊

孫市は、満足そうに微笑した。できれば生涯、自由闊達に生きてゆきたい。一つの宗旨、お仕着せの人生観に縛られてたまるものではない。・・・

僕もそうありたいなぁ。

pp.270--311  鷹ノ巣岬、片男波かたおなみ、堺へ、鉄砲鍛冶かじ、鉄砲仙斎

日本全国で、堺ほど安全な町はない。他の諸国で動乱があっても、この町にはかつてなく、敗者も勝者もこの町にさえ来て住めば、平和に暮らせる。諸人相和し、他人に危害を加えるものがいない。・・・

自治区の様なものが、そんな昔の日本にあったなんて、おどろき。

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松坂 晃太郎  / MATSUSAKA Kotaro
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