PdMのスキルマップと活用
〜ヒューマンスキルからテクニカルスキルまで〜
1.スキルマップとは
スキルマップは、スキルの可視化と構造化が目的のツールです。ここでは、スキルを「ヒューマンスキル」「ソフトスキル」「ハードスキル」と三つのカテゴリーに分けています。
ヒューマンスキル:人間性や倫理的な判断、リーダーシップを指します。
ソフトスキル:コミュニケーション能力や問題解決、時間管理などが含まれます。
ハードスキル:テクニカルなスキルや専門知識をここで取り上げます。PdMの具体的なタスクに基づいた分類を行っています。
本稿は、参考文献および法人向けSaaSプロダクトの開発現場での学びを基に、私が個人的に作成したものです。学術的な研究に基づいたものではありません。お読みいただいた方が、参考にされる際には、ご自身の現場に合わせて内容を調整していただけますと幸いです。
2.スキルマップを作成した背景
もし創業者や役員であるならば、プロダクトを開発し、リリースする過程は比較的スムーズに進むでしょう。その理由は、強く必要性を訴え続けていれば、チームが何かしらの形でフォローしてもらえるからです。(過去の私の実体験から)ですが、組織が拡大すると、創業者や役員が直接すべてのプロダクトを指揮するのは難しくなり、専任のプロダクトマネージャー(PdM)が必要になります。
PdMの役割は広範で、創業者や役員、そして他のステークホルダーと多くのコミュニケーションを必要とします。特別な権限を持たないPdMは、創業者や役員と同じアプローチで結果を出すのは困難です。
したがって、PdMは、多様なフレームワークや思考法を習得することはもちろんですが、ステークホルダーに対して、単にプロダクトや機能の必要性を訴えるだけでなく、他者と効果的にコミュニケーションをおこない、情報を駆使した影響力を発揮し、さらに自身と関係者のモチベーションと行動力を高めることも、プロダクトの成功へのカギとなります。
そこで、PdMチーム全体で、この考え方の共通の認識を持ち、スキルを意識的に育む手助けとなることを目指してスキルマップを作成しました。
3.スキルマップの活用シーン
3-1. 面接プロセスでの活用
面接プロセスでは明確な評価基準が求められます。ここで、スキルマップが候補者の各スキルを評価する手がかりとなります。まず、このスキルマップを用いて、候補者の経験と思考力を掘り下げ、スキルや適性を的確に把握します。次に、具体的な実績や挫折のエピソードから、候補者の問題解決力、リーダーシップ、そしてチームワーク能力を詳しく理解します。もし候補者が実務経験に乏しく、理論の知識だけで応答している場合、それは入社後の成果においてリスクとなり得ます。最後に、候補者が新しい情報にどれほど敏感で、それをどのように学び・適用するかを探ることで、成長可能性と好奇心を評価するポイントとなります。
3-2. 目標設定
目標設定は、困難なタスクを遂行するための道のりを計画するプロセスです。この際、スキルマップを使用して、自身の強みを活かせる目標と、そうでない目標を選別することが有益です。
ジュニアメンバーに対しては、四半期または半期ごとに苦手なスキルを1つ改善しながらプロジェクトや役割を遂行するようデザインすると、無理なくスキルアップが可能でしょう。
目標設定の際には、どのタスクにどのソフトスキルを用いるかを共通の理解として持つことで、後続の評価プロセスがスムーズに進むでしょう。
3-3. 1on1
毎週または隔週で行われる1on1のミーティングでは、上長がメンバーにフィードバックとサポートを提供します。この際、スキルマップを利用して、メンバーの長所を活かした行動を称賛し、短所を補う方法については具体的なスキルティーチングを行います。一方で、ソフトスキルやヒューマンスキルに関わる課題についてはコーチングを通じてサポートを行い、メンバーがハードルを乗り越えてスキルを伸ばしていく手助けをします。メンターシップやロールモデリングは、ここでキーポイントとなり、個人の成長とチームの結束を強化します。
3-4. 評価プロセスの洗練
パフォーマンス評価では、成果だけでなく、個々がチームや組織にどのように影響をもたらしているかも評価することが大切です。具体的なケーススタディーを元にスキルマップを活用してフィードバックをおこない連続的な学習と成長をサポートします。