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【あらすじと感想】断崖

案内人の鬼丸です📚

今回は江戸川乱歩の書いた「断崖」に対するレビューを記事にしました!

🌟マークはコメントです。

登場人物

  • 斉藤 (過去のお話に出てくる男)

断崖の上に男女が2人

女と男が過去にあった出来事をおさらいする場面から始まります。

女と男の会話で展開される過去のお話。関係性はまだ不明だが、おそらく夫婦なのか?

過去のお話

斉藤と女が夫婦であった際に、女は斉藤の目の中に女に対する憐憫の情を読み取ったのです。なぜか、かわいそうにと思われていたのです。

人間の目の中にはその人の一生涯の事が書いてあるので、そのときの感情はすぐに読み取れると女は言います。それゆえ、かわいそうにと思っていた理由は、「斉藤が女を殺そうとしていた」からである。

女は当時スリルを味わう刺激に渇望しており、斉藤の本心を知っていたにもかかわらず、ゾクゾクする楽しみを感じていたのです。

🌟 女性はある意味で変態なところが、今後の展開をより面白くしてくれそうです!

当時の男は斉藤と女の家の居候で、売れない絵描きであった。そこで、不審者の姿を日常的に目にする機会があったのです。

斉藤と女は男の企みにより探偵小説に夢中になり、その一人二役のトリックをまねて、斉藤は完全犯罪をしようと企んでいたのである。

そして、殺害の動機も深く知ることができて、斉藤に若い女の影があったのである。斉藤は女の父親が残した莫大な財産を狙っていたのである。

リスクを楽しんでいた女だったが、本当に殺しに来るかもしれない不安に駆られ、男に相談したのである。

ある夜

女は殺されるかもしれないと、ピストルを手元に置いて寝たふりをしていると、やはり思っていたとおりに斉藤がやってきたのである。

斉藤は短刀を持っておりそれを女に突きつけてきたため、手元にある銃を撃った事で、斉藤は死亡し女は気絶をした。

後日警察に呼び出されたが、斉藤が短刀を持っていたことや、計画的な犯行である事を踏まえて女は不起訴に。

身寄りの無い女は残った男を頼りにして現在に至るのです。

🌟 斉藤の企みに女も身体を張って対抗したところはとても面白かった!

話しが終わり…

女は実はある結論を導いていたのである。

「男が斉藤と女に探偵小説を布教した」例にもあるように、男は女と斉藤に女の有利な殺し合いをさせて、残った女の頼りになることで、自分が財産を得るチャンスを物にしたのではないかと。

そして女が薄々男の本当の企みに気がついたと感じたので、この物語のタイトルにもある断崖へ誘い込んだのです。

そして、男の化けの皮が剥がれる…

🌟 男はそもそも売れない絵描きで居候をするほどお金に困っているので、女を殺して財産をぶんどるという考えは納得できます!

男は女を崖の下に突き落とそうと襲ってくるが、女はそれを回避すると男は落ちて行ってしまった。

これももちろん正当防衛で不起訴になる。

🌟 女は男や斉藤よりも一枚上手な心理戦に勝ったという点で、女も身体を張りつつ、完全犯罪を成し遂げる頭の回る人でした!なかなか面白い物語でした!

感想と考察

最初の入りが温泉宿から離れた断崖のそばであることに疑問を抱いていましたが、男の企みである事がわかったときは納得がいきました!このような、舞台設定も手が込んでおり、素晴らしいと思います!

「お金」という物に対する執着という人間の醜い性格を元にした物語で、女と男と斉藤が巧みなトリックで騙しあう姿が印象的でした。

特に、命の危機が迫る描写はとても緊張感を感じました。

瞳の奥に人間の感情を読み解く女の千里眼と、企みを知りつつも最善手を打つ判断ができる女の態度はとても強く、リスクを楽しむ者としての能力がふんだんに発揮されていた物語です!



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