
「光る君へ」メモリアル~紫式部をめぐる相聞歌【第1回】
この連載は大河ドラマ「光る君へ」を振り返り、紫式部をめぐる古典和歌での相聞歌を創作することによって、ドラマの魅力と古典和歌の奥深さを新たに発見しようとする試みです。
光る君へ第33回で道長はまひろに檜扇を贈りましたよね。
そこには幼き日のまひろと三郎(道長)の姿を思わせる童子が描かれていました。空を飛ぶ鳥の子の姿も……。


まひろはそこに描かれた絵を眺め、そして胸に檜扇を押し当てます。
その時のまひろの表情……。
まひろと三郎(道長)の思いはまた再び重なり合い、ひとつになったと言えるでしょう。
その時もし二人が歌を詠み交わしたならば、きっとこんな感じになったのではないかと思います。
逃がしつる鳥の子追ひて行きあひてし 人におぼえず恋ひそむるとは
まひろ(紫女)
逃がしちゃった鳥の子を追って行って
たまたま出会っちゃった子
その子とまさか恋が始まるなんて……
ひきかへし果物(くだもの)まゐるさまをかし 秀(ほ)に出(い)づる気色はをさなくなりつる
三郎(道長)
うってかわってお菓子を食べる様子が可愛かったよ
さっきは賢い感じが目立っていたのに
もとの子供に戻っちゃって……



