『光る君へ』21話 君きよらなるあけぼのの春 和歌
「たったひとりの悲しき中宮のために枕草子は書き始められた」
ドラマ内のナレーションでこのように語られていました。
しかし現在ではどうでしょう。枕草子は千年の命脈を保ち、今や日本を代表する名随筆となっています。枕草子第一段の「春はあけぼの……」このフレーズを知らない日本人はほとんど存在しないのではないかと思えるくらいです。そして日本だけに留まらず世界にも広く知られている大随筆となっているのです。
また枕草子の奥底には、清少納言の優しい思いやりの気持ちが満たされていて、そしてその気持ちが、この大随筆執筆の原動力となっていたということが、このナレーションによってあらためてわかりました。ドラマ内でのこの一連の画面は、名文が萌え出ずる瞬間瞬間を象徴的にとらえた名場面で本当に感動しました。
そんな清少納言の気持ちに成り代わって詠んでみたのがこの歌です。
またぞ立つよすがにならなむきらきらしう 君きよらなるあけぼのの春
きらめくばかりに素晴らしい
その美しさは至上のものの我が君
あなたの運命は再び春を迎え夜は明ける
そう、このあけぼのの空はその手がかりにもなってほしい
この美しい春の夜明けを描くことから始まるこの草子
これがあなたの心を明るくし
そして再び立ち上がるよりどころにもなってほしい
私は想いを込めているのです