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「雨水」「土脉潤起」と幼児の学び

冬の厳しさが少しずつ和らぎ、雪が雨へと変わる頃。「雨水(うすい)」の時節を迎えると、大地は潤いを増し、春の兆しが見え始めます。「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」とは、そんな時期の変化を表す言葉です。乾いた土に水がしみ込み、やがて芽吹きの準備が整います。自然が目覚めるこの時期は、幼児の学びにおいても多くの示唆を与えてくれます。

雨が降ると、地面は柔らかくなり、そこに生きる小さな命が顔をのぞかせます。ミミズが這い出し、虫たちが動き始めます。子どもたちは興味津々に観察し、「なんでだろう?」と素朴な疑問を抱きます。その問いは、やがて探究心へとつながり、科学の芽を育てることになるでしょう。

水たまりを飛び越え、長靴でバシャバシャと歩く。雨の日ならではの遊びは、単なる楽しみを超え、子どもたちに多くの気づきをもたらします。濡れた葉の光沢、雨粒が波紋を描く様子。そこには、幼児の感性を育む「学びの種」が詰まっています。

そして、この時期に大切なのは「待つ」ことです。雨水が大地を潤し、やがて芽が出るように、子どもの成長もまた時間をかけて進んでいきます。焦らず、急かさず、じっくりと見守ることで、子ども自身の力が育まれていくのです。

「雨だから外に出られない」ではなく、「雨だからこそできること」を探してみる。自然の変化に目を向けることで、子どもたちの感受性は磨かれ、学びはより深まっていきます。春の訪れを待ちながら、しっとりとした空気の中で、幼児たちはまた一つ、新しい世界を発見していくのでしょう。

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