「主体性」という言葉

子どもたちの「主体性」って、とても大切なテーマです。主体性。今では聞きなれた言葉かもしれませんが、この言葉をめぐっては、いろんな学問が関わってきてるんです。哲学、心理学、教育学、経済学、行動科学、社会学、神経科学、倫理学。並べてみると、それだけでなんだか難しそうですが、難しいからこそ面白いのだと思います。

さて、これからの幼児教育における主体性について、ちょっと考えてみましょう。最初に大事なことから。主体性とは「自分で自分のことを決める力」とか、「自分で自分を表現する力」だけではありません。むしろ、いろいろな角度から見ると、それだけでは足りないことがわかります。

哲学の視点から見た主体性

哲学って、どこか堅苦しく感じるかもしれませんが、実はかなり楽しいものです。たとえば、デカルトが言った「我思う、ゆえに我あり」、これはあまりにも有名です。でもこれ、よくよく考えてみると、子どもにとってはどうでしょうか? 彼らにとって「思う」ということが、どれだけ自由でエキサイティングなことか。子どもが世界をどう見て、どう捉えているのか。これは、まさに「自己を創造する過程」です。サルトルも言ってますが、私たち大人だって、自分をどう作っていくかは常に試行錯誤。死ぬまで試行錯誤です。だから、子どもたちもそんなふうに自由に世界を作っていってほしいと思いませんか?

でも、ちょっと話がずれますが、哲学者は、やたら「自由」だとか「自己決定」だとか言うけれど、実は彼らもすごく周りに影響されてるわけです。そう、私たちの「自由」も、意外と誰かの影響を受けていて、その結果「自己責任の塊」となります。

心理学で見る主体性

次は心理学。心理学といえば、ピアジェです。彼の発達理論、これもまた興味深い視点です。子どもがどんなふうに「自己効力感」を高めていくのかというお話。自己効力感というのは、要は「自分の行動が結果を生む」という感覚です。これは、まさに主体性の根幹をなすもの。なぜなら、子どもが「自分はできる!」と思わない限り、何も始まらないわけですから…。

では、その「自分でできる感覚」をどうやって育てるか? それは、ちょっとした選択肢を提示してみること。たとえば、「どの色のクレヨンを使う?」って聞いてみる。その色を自分自身で選ぶことで、主体性が育まれ、それと同時に責任も育まれます。えっ、責任?と思われた方もおられるかもしれませんが、なぜなら、選んだのは自分だから…です。

ついでに言うと、行動経済学の話もすごく面白い領域です。人間って、そんなに合理的に動くわけではありません。ヒューリスティックだとかバイアスだとか、意外と人間は「思い込み」で動いています。子どもも大人も。
でも、それもまた「主体性」の一部です。つまり、意識的に選んでいるつもりでも、無意識のうちに選ばされているということです。みなさんも何らかのバイアスを持っていませんか? ん万円もするワインだから美味しいはずだとか… 何歳になったんだから、これが出来なければならないとか…。 結局、子どももそのようなバイアスを経験し頭の中に潜み始めているかもしれません。

教育学で育む主体性

さあ、教育学の話をしましょう。これがまた大事な部分で、やっぱりここでは「主体的・対話的で深い学び」という視点が欠かせません。文科省の一丁目一番地です。ドラマ「御上先生」でも取り上げていますね。これは言ってしまえば、学びを受け身で受けるんじゃなくて、子どもが自分で考え、問いを立て、周辺と対話をする過程がとても大事だということです。

「子どもに与えるのではなく、子どもと一緒に作り上げる」ということです。遊びの中で何かを発見したり、友達と協力し合ったりすることで、子どもたちの中に主体性は育っていきます。どんな場面でも、「どうしたい?」と問いかけ、子どもが「自分で決める」機会をどんどん増やしてください。

神経科学から見た主体性

神経科学も無視できません。最近の研究では、脳がどうやって意思決定をしているかが分かってきました。なんと、意思決定をする前に脳がすでに活動していることがわかってきました! えっ?どういうこと? と思うかもしれませんが、要するに、私たちが「決めた!」と思った時点ですでに脳内では決まっているってことです。つまり、私たちの「自由意志」も、どこかで決まっているのかもしれなという話です。

でも、そうは言っても、教育においては「自由意志」を尊重することが大切です。子どもたちは、何かを選んで、行動する力を自分で獲得しなければなりません。たとえ脳内で何かが決まっていたとしても、子どもたちは「選ぶ力」を持ち、実際にその選択を自分ですることが重要です。それと同時に「選ばない力」もとても大切になってきます。

これからの幼児教育

子どもたちの「主体性」。とても大切なテーマです。今では聞きなれた言葉かもしれませんが、この言葉をめぐっては、いろんな学問が関わっています。哲学、心理学、教育学、経済学、行動科学、社会学、神経科学・・・。並べてみると、それだけでなんだか難しそうですが、まあ、難しいからこそ面白いのだと思います。ハードファン!

もちろんこれは一筋縄ではいきません。子どもが自分で選んで、決めて、行動する力を育てるためには、環境づくりが重要です。そして、決して「自由」に放置するわけではなく、適切なサポートと選択肢を用意すること。これも重要になります。
主体性は単なる「自分で決める力」だけじゃなく、環境との相互作用や社会とのつながりの中で育まれるものだということですこれからの幼児教育では、この視点を忘れず、大人も子どもと主体的に遊び・学び続けることがとても重要です。
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