営業というスキルを分解してみる。
定期的に自身のスキルセットを見直す機会を強制的に頂いており、営業というミッションから少し距離を置いたタイミングなのでちょっと棚卸しをしてみました。
自身が経営者として身につけたいスキルセットは多岐に渡りますが、
前提として、
「自身が人生で何を成し遂げたいか?」
「そのために必要なスキルは何か?」
「それはいつまでに必要なのか?」
「それはどれほどのレベルが必要なのか?」
など、どこにゴール設定を置くかでその変数は大きく変わってくると考えています。
経営者のタイプは大きく分けて2つに分かれるという話を聞いたことがありますが、それを仮に「戦略立案型」と「営業先行型」と仮定します。
※実際にはもっとあるとは思っています
自身が営業出身という事もあり、「営業先行型」の経営者に必要なスキルセットを因数分解して記載してみようと思いましたが、長くなりそうでしたので汗、今回は、
『営業力とは』
という視点でアプローチしてみます。
そもそも営業力とは?
前提:
そもそも、to B営業(法人向け)とto C営業(個人向け/保険や住宅等)によって変数はありますが、以下は法人営業寄りの視点でアプローチします
自身が10年間、いわゆる一部上場企業のナショナルクライアントへの法人営業を通じて感じたたことは、営業力を分解すると、
【1】人間力
【2】スキル
【3】知識
【4】マネジメント力
にざっくり分かれるということがわかりました。
良く若手営業マンや、中堅で伸び悩んでいる営業マンから、
「もっと営業力を鍛えたいです!」
という相談を頂きますが、そもそも今はどこがどのレベルでできていて、何が何故できていないのか、という状態が正しく理解・把握できていないケースが多いように感じます。
だからそのアプローチが、
「もっとアポの件数を増やして場数を重ねる」
「傾聴力を上げて、ヒアリング力を鍛える」
「提案書のクオリティをもっと上げる」
などのアクションプランになりがちです。
ここからは、個人的に考える「営業力」の4つの要素を深掘りしてみたいと思います。
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1)人間力
主な要素
・親近感 ・ルックス ・ユーモア
・清潔感 ・信頼感 ・好奇心
・演技力 ・信念 ・熱量
・優しさ ・厳しさ ・生き様
・まじめさ ・素直さ ・可愛がられ力
営業職は、上記の要素が多分に影響する職業だと考えており、性格や見た目などの第一印象は、多分に大きな武器になります。
ここはいわゆる新卒採用や配属部署のタイミングで、「この子は営業に向いている」というのが分かりやすい判断ポイントだと思いますので、最初に営業配属された方は、少なくとも何かのポジ要素を持っており、それを活かすことを超初期ミッションとして請け負ったことになります。
2)スキル
主な要素:
「プレゼンスキル」
└自分を、自社のサービスを魅力的にプレゼンできるスキル
└プレゼンに緩急をつけて引き込むことのできるスキル
└人数、場所、営業フェーズを分けて使いこなせるスキル
「ロジカルシンキング」
└物事を論理的に説明できるスキル
└トークだけではなく、提案時や企画書作成時に活かせるスキル
「コミュニケーションスキル」
└顧客との絶妙な「間」を読み取るスキル
→対面/リアル
└全てをテキストで伝え切るスキル
→テキストコミュニケーション
※「対面<テキスト」=後者の難易度が高い
「目標設定力&戦略立案力」※視点は社内>社外
└適切な目標を設定できるスキル
ー 背伸びして達成できる絶妙な定量設定
└戦略&アプローチを描くスキル
ー 戦略と戦術を混同せずに描ける
└PDCA組み、正しく回し続けるスキル
①正しいプランの設計と立案(P)
②具体的なタスクへの落とし込む(D)
③失敗を織り込んだ事前共有(C&A)
「課題設定力&課題解決力」※視点は社内<社外
└顧客の課題を見抜き新たに設定するスキル
-前提として社内の課題設定力はマスト
└その課題に寄り添い共に解決できるスキル
└既存課題へのアプローチを複数打てるスキル
※難易度は「課題設定力>課題解決力」
「仕組み化&分析スキル」
└売れる仕組みを作るスキル
└上記を更に高速で回る仕組みを作るスキル
└そのPDCAから生まれる抽象的なファクト(定量・定性)を分析し、具体化してアクションに落とせるスキル
3)知識
主な要素:
「専門知識」
└前提として顧客に頼られる知識の深さ
└スピーディーに最先端の専門知識を習得できる高い学習能力
└インプットを高いレベルで現場へアウトプットできる能力
※業種業界で変数が大きいため簡略
4)マネジメント力
主な要素:
「プロジェクトマネジメント力」
└適正な人材、適切な人員を配置する力
└全体最適を考慮できる調整力
└タイムマネジメント力/先読み力
└適宜求められる拡動性と柔軟性
└全体を俯瞰的に見る力と主観的に現場を知る力
「推進力・実行力」
└スピードを落とさず着手できる能力
└関係者を巻き込んで推進する熱量と迫力
└会議やキックオフでのファシリテーション技術
「メンバーマネジメント力」
└個人に最大のパフォーマンスを発揮してもらうための配慮
└個々人への事前連絡や事前共有、及び事後フォロー
└スポットライトを当てるタイミングの設計
└想定以上のパフォーマンスを出してもらうための発破掛け
※すべて強制ではなく内発的動機付けへの着火が重要
「ビジョン設計力」
└プロジェクトをどれだけ高位概念で語れるか
※意義や提供価値、未来を自ら描き発信し、
それに対する共感を得る能力
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と、ご覧いただいた通り、「営業力」を深掘ると、マネージャーとメンバー間のコミュニケーションとは異なる軸が複数あることが分かります。
よく、営業たたき上げで独立した後、正しいスキルセットができておらず、立ち上げまでは上手くいくけど、組織拡大のタイミングで要所要所にほころびが生じて、一気に下落する会社を多くみてきました。
コンサルでお手伝いしている会社も、そのフェーズでお声掛けされると正直手の打ちようがなく、まずはスクラップして、いちからビルドすることをお勧めしています。
企業経営において、営業力を武器に組織を大きくしていくためには、正しいスキルセットと収益を生める事業構造が最低限マストだと考えています。
その上で、個人的にはビジネススキルは細かく分かれているわけではなく、それぞれが相関性持っていて、
■営業力を極めるためには各能力が必要になる
■各能力を伸ばすためには営業力が必要になる
というのが個人的な持論です。
最後になりますが、営業という仕事はどうしても敬遠されがちですが、よりDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むこれからの時代において、より希少価値が増してくると確信しています。
少なくとも、我々がビジネスの第一線を駆け抜けている間、重要な意思決定は人間がするものであり、そのための”抽象→具体”のサポートをAIが行ってくれるんだと思います。
※特に法人営業におけるDXはまだまだ先です
以上、長い文章でしたが最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
また不定期ですが更新していきたいと思います。