やってやれないことはない17話 『やってみると……リフレッシュ休暇の試行』
介護保険が始まっていますが、何も対応していないこの病院は何を期待されているのだろうか。
このニーズはどこにどれだけの内容があるのだろうか。
当院で計画している介護保険対応施設や設備を列挙し、実施可能なものを患者さんに知らせてみようということにしました。
介護保険対応施設や介護サービスを計画している旨記載したチラシを全来院患者さんに800枚以上配布したところ、日々反応は高く推移し、それに応じて外来患者数は、350人/日を超えピークを過ぎても平均250以上/日という結果になりました。
100人/日以下の病院が、ピーク3.5倍以上、平均2.5倍以上という状態に外来の活気は創業以来という忙しさ。潜在需要があり、やればできると実感しました。
医事課の体制も整っていましたので、待ち時間もむしろ短縮し、苦情も聞かれませんでした。
夏が来るとお祭りです。
病院は、病室から見えるように中庭に大きいステージを作り、地域の子供たちや職員の演技などを披露し縁日を催します。
縁日には出入り業者の方達の応援がありました。金魚すくい、飲料水の安売り、綿菓子の販売等など大騒ぎの2時間半です。
職員が本当に楽しそうにしていました。車いすの患者さんを連れてきて、松葉杖の患者さんを介助しながら参加しています。 笑顔の宝庫で心から素敵なひとときを過ごします。
このころある看護職員から依頼されました。
「農家の長男の嫁である自分は、お盆や正月の時期になると休みを取らなければならなくなり、他の職員同士の中で諍いが出る。何とかならないだろうか。」
実態調査したところ、この地域は、田園地帯であるためこのような事例が頻発していることが分かり、職員全員に一案を試行で行うことを提案しました。
『リフレッシュ休暇制度の試行』です。
職員が連続して8日間休みをとれる制度です。連続して取得するというところがリフレッシュです。詳細は「病院業務通達」をご覧ください。
先の理由以外に海外旅行に行くには、このくらい長い休暇が必要ですね。
それまでは、どこに行ったか、楽しかったことなどオープンに話せない雰囲気の中で、3日取得するのが精いっぱいと言うのが実態でした。
「おたがいさま」を基本とした休暇の取得方法。
「行ってきます」「行ってらっしゃい」が気持ちよく言える世界。
「よろしくお願いします」「まかしておいて」とやさしい世界。
この制度を発表したときに、反対したのは管理職だけでした。
シフトが組めないとの一点張りに、組んでみせると承知しぶしぶでした。
その後毎年、全職員が決められた期間に予定を入れて休みを率先的に取得するようになり、職員同士の雰囲気も良くなりました。
2年目が過ぎたころから、病院がどんどん変わっているという情報は、業者経由で伝わり、多くの病院やクリニックから見学ラッシュとなり、とんでもないほどの騒ぎとなりました。
医療法人協会の事務長会では、元会長であったある病院の事務長から呼び出されて幹事になるように推挙するとまで言われました。
医療法人協会ではどうしようもない病院とのうわさが先行し、誰も相手にしなかったと聞いていましたので、奇跡の復活は、病院職員の本来持っていたパフォーマンスを発揮させただけと伝え、まだ早い旨説明して辞退しました。
外来における計画は、これで第一段階クリアです。
ですが・・・さぁ これからが本番です。