【Day5〜7】「生きてるだけで立派」
2023年9月20日(水)
24:白露 72:玄鳥去(つばめさる)🌒月齢5.1 5:27〜17:42
Kan Sanoさんがなぜか「生きてるだけで立派」と突然つぶやいていた。
彼も私と同じ街の風景を育った人。同じ学び舎で楽器を吹いた人。
今日は休み。家事の日。
夜中に何度も目が覚めたけれど、薬がまた少し減った。
一時のショックからは回復するものだと学びたい。
夫が録画を観ていたので、坂本美雨さんのネコメンタリーを再び観る。
「近いうちにやってくる喪失」って、本当に、誰でも通ることなのかもしれない。私がたまたままだ経験していないだけで。
っていうか、夫、喪失しないんだけれども。
引っ越しまで半年間、そして引っ越し後に生活に慣れるまで、継続的なサポートが必要だと思い、健保組合が提携している相談窓口に電話をする。継続的に福利厚生でカウンセリングが受けられそうな機関をいくつか教えてもらう。助かった。が、いずれも拠点は東京で、引っ越し後はzoomなどを使うことになる。
できれば金沢にそういう機関があってほしいのだが、本当に、本当に、地方は少ない。
おしゃれなカフェやミュージアムはやたらと多く、東京と同じくらい文化的な生活ができる金沢だが、心の健康をしてくれるような、癒しとなるようなホリスティックな機関はほとんどないことに愕然とする。ここに何かヒントがある気もする。
電話を受けたカウンセラーさんから、最後に軽いアドバイスをもらう。
喪失の時は、とにかく泣くこと。
不安を感じるということは、未来のことを考えているということ。
しかし、泣くこと、悲しむということは、今ここにある、つまりマインドフルな状態になっているということだ。泣くとすっきりするのは、ある種、瞑想後なのか。
知っているようでわかっていないことだった。とてもよいことを聞いた。
2023年9月21日(木)
とうとう薬なしで眠り、目覚める。
ヤマザキのなしウォーターや、カルディのコーヒーサービスや、サロペットを買うことなども考えるようになる。
出勤途中、彼岸花が突然現れてヒッとなる。こんなに暑くても毎年突然必ず暦を知っているように現れるのはなぜだ。気温より日の出日の入りと連動しているのだろうか。
そして、半年後の春分、つまり結婚記念日あたりに、私たちは別れることになるのだ。
いつだって眠れないよりマシだと思うと、電車や閉所があまり怖くなくなる。これは過去にも経験済み。
引っ越し後の何が怖いって、眠れないことである。
過去にも書いたことがあるが、私は9年前、1か月間ほど、マイクロスリープしかとれないようなひどい不眠に陥ったことがある。
明らかに、人生で最も恐ろしい1か月半だった。体がずっしりと重く、とてもじゃないが日中活動できない。
眠れないのにただ横になって1か月を過ごした。たまたま新たに医師が処方した薬が合い(あるいはそれがきっかけになっただけなのか)、その日を境に回復することができた。
その後も不眠のトラウマは続き、環境が変わるたびに眠れなくなる。というか、環境が変わるたびに眠れなくなるのでは、と不安になり眠れなくなる。
夫に手を触れることができなくなる、ということと、不眠への恐怖は、不可分である。
隙間時間に、私はいかに不眠から復活してきたかをメモし、手帳に貼った。
このところ、仕事の日は昼休みもろくにとれないほど忙しい。
堀込高樹が難波志帆ちゃんのラジオに出ていて、それが面白くて最後までゆっくり聴いていたら、油断して布団に入るのが遅れ、焦ってまた眠れなくなった。頓服復活。
SNSで「観光に全振りした結果、街中のテナントが空洞化していく金沢」というったような投稿を見かけて、うんざりする。知ってるよ。
金沢の街中を歩く人の6割以上は観光客。住人なんてほんのちょっと。
私が高校生の頃通っていた片町のファッションビルは、かつてはヒステリックグラマーにスーパーラヴァーズ、タワーレコードに大中、ヴィレッジヴァンガードが入ったパラダイスだった。
今は、ドラッグストアと100円ショップと美容院が入っている。完全に終わっている。
人が住む、生きた街としての施策ならば、トラムが走る富山のほうが多分うまくいっている。
外面ばかりがよい金沢、観光以外の経済活動がまるでダメな金沢。
その嫌なところを、私はこれでもかと知っているし、たぶん住んでいたら、「うんざり」が上回るまで、数日しかかからないような気もする。
ただ、私もそうしようとしているように、今はリモートで仕事ができる人間が増えた。そういう人にとっては、金沢のふだんの生活がやや不便であっても、そこまで困ることはない。そして、街並みや自然環境にひかれて人が集まったり、戻ったりはしてくるであろう。
あまりの気ぜわしさに、土曜は料理しないと夫に宣言する。
2023年9月22日(金)
仕事の日。昼休みにtodoリストを作る
私は正方形の付箋にtodoリスト等を作り、手帳に貼り、必要に応じて貼り直していくというスタイルをとっている。
「内示が正式にくだるまで」「内示が出たら」「引っ越し直前「引っ越し直後」そして「買い物」の5枚の付箋を作る。昨日の「不眠からの復活」の付箋を含めると6枚も手帳に貼って、ちらちら見ている状態だ。(ちなみに、これ以外にも「電車の中などで怖くなった時用」の付箋が2枚ある)
日没が早くなり、しんしんと職場で夕方仕事をしているだけで胸が痛くなる。
不眠が続くとこのような症状が時折あるのだが、その痛みの源がなんなのかは正確にはわからない。やはり睡眠への不安なのか、喪失への不安なのか。単にカフェインをとったからなのか。文字通り、胸が締め付けられる思い。
帰りの電車の中で、たまたま隣になった上品なマダムふたりの会話が、実に示唆的だった。
「ヨガをやっていると自分ひとりだけになるのよね。草木や自然物と同じように。旦那さんがいても結局は自分ひとりで、寂しかったり嫌な面も見えたりするけれどね、ひとりでいることに平和を見出すの」など。ある種の典型だけどそうなんだろう。
こういう人たちを、余裕があって羨ましいねと見るむきもあるのだろうけれど、余裕があるのはよいことで、みんな余裕があるのがいいよ。
引っ越し先でこういう友達ができるだろうか。できたらいいのにな。ずっと歳上でもいいから。
土日に予定を入れたくないため、大急ぎで退勤後、どしゃぶりのなか美容院に向かう。
髪を切ったらスッキリするかと思ったが、特に感慨はわかず。
引っ越しの可能性を美容師さんに話したが、夫と離れて暮らす孤独や寂しさよりも、生活の利便性などの話ばかりになる。
どうも、配偶者と離れて暮らすことが、身を引き裂かれるくらい寂しい、という人間は少ないようだ。
金曜の夜、また薬なしでぐっすり眠ることができた。
夫はこの2日間とも帰りが遅く、ほとんど会話していない。
きっと内示がくだったら、送別会で家をあけることが増えるんだろうな。