劣化油と体内の話(1) 油とは
外食するとお腹が痛くなる場合があるんです。
なんで!?
お腹キリキリ…
もう…ほんと勘弁…。
外食後に時々起こるキリキリとした腹痛。
共通点を探っていくと
油…。
劣化した油…。
そんなことが脳裏に浮かび上がります。
当然、それが原因かどうかは断定することはできません。
しかし、そんなことから
なぜ劣化した油は体に悪いのか?
に興味が湧きました。
正直なところ、読み聞きするだけで
その実態はよくわかってい無いことに気がつきました。
みんなが悪いというから悪いんだ…。
なんです…。
ということで、そんな疑問を解消すべく
油の劣化による人体への影響を
調べてみることにしました。
まずは劣化した油とは何かを知ることにしました。
油(脂質)とは
脂肪酸とグリセリンの結合物です。
この組み合わせをグリセリドと言います。
え!?脂肪酸?グリセリン?グリセリド?
何それ?
まずはこちらのイラストを。
脂肪酸とはこの薄黄緑色にあたる部分。
主に炭素(C)、水素(H)、酸素(O)が鎖状となった化合物です。
グリセリンとはこの水色にあたる部分。
こちらも炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の化合物です。
アルコールの一種であり無色透明で粘性を持っています。甘味があるのも特徴。
アルコールの一種だからと言って酔うわけではありません。
全く別物です。期待した方ごめんなさい。
酔う元となるのはエタノールですね。
油はこの脂肪酸とグリセリンが組み合わさったグリセリドが沢山集まって形作られるんですね。
油の劣化
ではこの油、劣化するとどんなことが起きるのでしょうか。
重合という劣化
長時間の加熱によって分子と分子の結合が起きます。
分子がスパゲッティみたいに絡まりやすくなるので、
サラサラだった油はドロドロになるんですね。
消化にも負担がかかりそうです。
酸化という劣化
酸化した油は臭いの元、風味も悪くなります。
酸化する原因となるのは水素の席を酸素(O)が横取りするため。
席?
脂肪酸を並んだ椅子と想像してみてください。
席には水素(H)が座ってます。
その中の席で横取りしやすい水素が1つ2つとあるんですね。
水素を横取って酸素(O)が座ると酸化となります。横取られた水素は酸素と一緒に座ることとなります。
この横取りしやすい水素がいるものを「不飽和脂肪酸」と言います。
うわ!水素いるのに横取りできない!
横取りしたくても横取りできる水素がない。これが「飽和脂肪酸」です。酸素が入る余地がありません。
酸化しにくい油です。
分解という劣化
脂肪酸とグリセリンの結合が分解されてしまいます。
熱や水分によってここが離れちゃうんですね。
グリセリンは無味な物質。風味が損なわれてしまいます。
風味が損なわれる理由は調べきれず。
想像となってしまうのですが
脂肪酸とグリセリンがきれいにくっついてる状態
これをいい味と感じるからではないかと。
分解されてもグリセリンの総量が変わるわけではないのに
風味が損なわれてしまうのは人間の分子に対する味覚反応が理由ではないかと考えています。
酸化による風味の劣化も同様の予想をしています。
空席の方がよりいい味。
次回予告
一体劣化油を体内に入れるとどうなるのでしょうか?
油の劣化を調べていくうちに、体に良くないのは重合ではないか?酸化もよくないと聞くがこの辺りが気になるところとなってきました。
なぜ、劣化した油を体に入れるのはよくないのでしょうか。
まずは油はどのようにして消化されるのかを見ていきたいと思います。
次回に続く。
***
冒頭写真:ストックフォト
イラスト:まと。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
科学のお話、油と体シリーズが始まりました。
しばらく、お付き合いいただければ嬉しいです。更新は不定期です。
【参考文献】
油脂
農林水産省
株式会社 サンコー商事
食品包装基礎講座
油の酸化
役に立つ薬の情報~専門薬学
油脂の変敗
化学製品 PL 相談センター
アクティビティノート第 284 号(2020年10月)
食用油の傷み
日清オイリオグループ株式会社
Q.油ってなんですか?
公益財団法人日本食肉消費総合センター
脂肪酸とはどんな物質?
わかさの生活 わかさの秘密
グリセリン