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ず〜っといたい!天空の楽園〜苗場山〜
いけばわかる。
そう、天空の楽園といわれるてっぺんは、それを目の前にしたときことばを失うんだ。
動画でみたり頭に想い描いている姿は、出逢うと一瞬で想像を超える。
私は運良く、山にのぼった経験が少ない。
他を知らない分、全部に感動できる。
なんて幸せなんだ。初心者バンザイ。
苗場山は新潟県と長野県の県境に位置する。てっぺんは広大な”高層湿原”と呼ばれる湿地帯で、多くの池塘を有している。
春は残雪と新緑のコントラスト、夏はお花畑、秋は草紅葉、そして冬は果てしなく広がる雪原と四季折々の見どころがある山で、のぼりたいとずっと思っていた。
なかなか天気とタイミングがあわなかったが、ようやく8月下旬その時がやってきた。お花畑といえるほどではないが、目を喜ばせてくれるお花たちにも出逢うことができた。
もう早朝出発にも慣れて、2時起き3時出発を普通にこなす。
関越道に乗ってからもしばらくは曇り空で少し心配だったが、谷川岳PAからすぐの長いトンネルを抜けると、信じられないほどの快晴が広がっていた。
ー 苗場山アクセス
登山ルートは新潟県側からの祓川(はらいがわ)登山口ルートや長野県側からの小赤沢3号目ルートなどいくつかあるが、私が今回選んだのは人気のある祓川登山口ルート。
長野県の方が近いかなと思ったけれど、車のアクセスは祓川登山口の方が早く新宿方面からだと3時間ほどでつく。
<電車の場合>
JR越後湯沢駅からバスはないのでタクシーで約30分ほど。
<車の場合>
関越自動車道(湯沢IC)から30〜40分ほど。
山道は少し狭いが整備されていて走りやすい。
祓川登山口駐車場は約30台駐められる。
平日ではあったが、ハイシーズンのせいか到着した6時30分にはほぼ満車だった。隣の車と空間が広く駐めてあったので、「もう少し詰めればあと数台駐められるよな」と思った。
駐車場にはトイレもある。
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ー 祓川登山口ルート
祓川登山口から神楽ヶ峰を越えて苗場山てっぺんをめざし、くだりも同じピストンでくだっていくルート。
YAMAPの標準コースタイムは約8時間、距離は14.2km、累積標高は1271mとあり、私にとって累積標高が1200mを超える場合は1泊するのがのぞましい。だが、今回はあえて日帰りにチャレンジをした。
なぜなら、比較的整備され難しい箇所もあまりなく初心者でものぼりやすいとされているので、これからアルプスをめざす私にとってはトレーニングでもあり、今の体力の限界を知るチャレンジにちょうどいいと思った。
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休日の場合、稼働しているかぐら第1高速リフトに乗れば1時間ほど山行が短縮できる。私がのぼった日は平日でリフトは動いていなかったため選択の余地はなし!
ー のぼり前半〜神楽ヶ峰まで〜
駐車場から少しアスファルトの車道をのぼると、レストランとおぼしき建物(営業はしていない様子だった)があり、「ここにも駐められます」という看板があったが駐めている人はいなかった。
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アスファルトのゆるやかなのぼり坂をのぼること30分、右手にかぐらゴンドラ山頂駅、左手に和田小屋がみえてくる。
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かぐら第1高速リフトの乗り場は和田小屋の近くにあるようだ。(動いてないのでチェックはしていない)
ここからいよいよ登山道のはじまりだ。
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樹林帯に入るとリンドウがお出迎えしてくれた。はじめは木道が多くゆるやかにのぼっていく。
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岩もあるが険しさはあまりない。
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登山道を50分ほどのぼるとひらけたところにでた。青空がまぶしい。
ここで一息つこうと、石の上に座り行動食をとった。
どうやらこの辺りまで、かぐら第1高速リフトでのぼってこられるようだ。
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さらに5分ほど進むと下ノ芝というベンチがあった。なんだ、ここで休めばよかった。どうも下調べが甘い。
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樹林帯は葉がかなり落ちていて滑りやすく、また大きめの石でも浮石があるので注意が必要だ。
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下ノ芝のベンチから約40分ほどいくと、まるで天まで続いているような木の階段があらわれた。のぼっていくと中ノ芝のベンチがあった。
樹林帯はとにかく暑かったけれど、木道には心地よい風が吹いている。
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「なんて解放的な場所なんだ!」と思わず腰をおろす。
広がる景色に、「もうここがてっぺんでいいですよね!」と賛同を求めるように近くで休んでいた人に話しかけた。
本当に山では人懐っこい。
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先に見えているベンチが上ノ芝
中ノ芝から10分ほどのぼると上ノ芝のベンチがある。
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青空のもと、ルンルン気分で進んでいくと”股スリ岩”というちょっとスリリングな岩に到着。
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上からみると怖そうだが、ゆっくりおりれば怖くはない。
股スリ岩を難所というのなら、祓川コース唯一の難所かも知れない。
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下からみると大したことはなかった
上ノ芝から20分ほどで神楽ヶ峰に到着。直前ののぼりは少し険しかった。
神楽ヶ峰は狭いが眺望はよかった。
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かなり疲れもたまってきたがまだまだ先は長い。
ー のぼり後半〜苗場山てっぺん〜
神楽ヶ峰のピークをすぎるといよいよ苗場山が姿をあらわした。
いったんくだって、あの山にのぼるんだ。
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神楽ヶ峰からくだりきるとお花畑がある。少しだけお花も残っていた。
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のぼりはじめは景色を眺めつつのぼっていくが、徐々に道も険しくなってくる。
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ふりかえると歩いてきた道がみえる。
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ときどき顔をみせてくれる風景に励まされ気合いを入れる。
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9合目を過ぎてからはとても険しくて、もうヘロヘロだった。
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そして神楽ヶ峰から1時間10分、駐車場から歩きはじめ休憩を入れて4時間ちょっと、ようやくようやく辿りついた!!
そこはまさに『天空の楽園』だった。
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てっぺんに広がる湿原にはいくつもの輝く池塘があり、まっすぐにひかれた木道はどこまでも続いていた。
てっぺんの標識は奥まったところにある。
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苗場山頂ヒュッテにはトイレもある。
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休憩は湿原にあるど真ん中のベンチを陣取り、青々とした草木にかこまれてカップラーメンを食べた。
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湿原をみているだけで満足だった
日帰りのてっぺんで、こんなにもたくさんの写真を撮ったのは初めてかもしれない。
「苗場山は泊まるべきだ」
ずっといたいと心から思った。
のぼっている間いくどか出逢い、ともにのぼってきたご夫婦も同じベンチにいらした。
「キツかったね~」と、お互いを讃えあいなんだか嬉しかった。
1時間ほど休憩をしたのち、雲もでてきたので下山をスタート!
ー 下山へ
ピストンなので同じルート。
ゆえにわかっていた。のぼり返しがあることを。。。
神楽ヶ峰までののぼりはかなりキツかった。でも、のぼりはここで終わりだ。あとはくだるだけ!
一気に上ノ芝までくだり、ベンチに先ほどのご夫婦がいらしたので一緒に休憩をとった。
ご夫婦は5年ほどお二人で山のぼりをしているそうで、次は槍ヶ岳をめざすという。なんと羨ましい〜!!憧れの山。
お二人にこれまでのぼって印象に残っている山をきいてみた。
「四阿山(あずまやさん)と蝶ヶ岳(ちょうがたけ)がよかったよ〜」
と。四阿山は雪山をのぼったそうで、写真もみせていただき大興奮!
蝶ヶ岳はアルプス初心者にもおすすめのようなので、早くものぼりたい山リストに追加だ。
そんな楽しい会話をすること15分、すっかりパワーも回復し、
「この先はもう大したことないですよね」
と、励ましあいつつ再び歩きはじめた。
甘かった。
大したことなくなんてない!!
八ヶ岳ほどの大きな岩や悪路ではないにせよ、そこそこの岩と悪路。
距離が長いので足の踏んばりがだんだんと効かなくなる。
のぼりはそれほど岩や悪路に苦しまなかったけれど、くだりはキツかった。
「写真を撮りながらくだろう」と思っていたけれど、想像以上に余裕がなかった。
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木道はずっと木道だと山のぼりらしさがないけれど、ときどき木道があるとホッとする。祓川コースはほどよく木道がしかれていてありがたいなと思った。整備してくださっている方々に感謝です。
15時。ようやく和田小屋がみえたときは、「救われた〜」と思った。
でも膝は痛くならず、踏んばる力が落ちてヨタヨタしていたけれど、和田小屋の前でひと休みしジュースを飲んだら復活した。
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和田小屋の前には水場と靴洗い場があった。靴はドロドロだったのでこれは助かる。
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最後のアスファルトロードが地面からの照り返しで熱く、地味にしんどかった。
ペースはほぼ標準だったが休憩を1時間半もとっていたので、山行時間は9時間におよんだ。難しいところはなく、道に迷うところもない。眺めのよいところが多く、素晴らしい山行だった。すっかり、苗場山のファンになってしまった。
しかし、長かった〜。
今度はぜひ泊まりできたいと思う。
苗場山の日帰り山行は私にとってひとつの自信につながった。
「これならいける」
いよいよ目標としていたアルプスへの挑戦切符を手にした気分だ。
高尾山の下山で膝を痛めてから7ヶ月。少しずつ少しずつステップアップして、ようやくめざせるところまでやってきた!
のぼる前から感慨深い。
いざ!アルプスへ!50代の挑戦はつづく。
距離:14.2km
累積標高(のぼり):1238m
タイム:8時間57分(休憩1時間36分含む)