Vol.13 逆必ずしも真ならず~~その1


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 宜しくお願い致します。

1. 問題その1、(1)について・・・


$$
a + b + c = 0  \Leftrightarrow  a^{2} + b^{2} + c^{2} = -2( ab + bc +ca)               \cdots(1)
$$

(1)の「$${\Leftrightarrow }$$」の右側の式について、右辺を左辺に移項し、

$$
 ( a + b + c )^2 = 0
$$

 この形を作って検討する事を考え付いて欲しいのである。 以下、その手順を示してみる。

$$
a^{2} + b^{2} + c^{2} + 2( ab + bc +ca) = 0         \cdots(2)
$$

 この(2)式は、左辺を因数分解すると次のようになる事は、多分このマガジンの何処かで述べていたと思う(何時か多分)。

$$
( a + b +c  )^2 = 0      \cdots(3)
$$

 よって(1)は次のように書く事が出来そうだ。

$$
a + b + c = 0  \Leftrightarrow ( a + b +c  )^2 = 0             \cdots(4)
$$

 0 の 2 乗は 0 であり、2 乗して 0 であるのは 0 である。よって(4)は真であり、それと同値の(1)もまた当然に真である。 


2. 問題その1、(2)について・・・


$$
a + b + c = 0  \Leftrightarrow  a^{3} + b^{3} + c^{3} = 3abc   \cdots(5)
$$

 お気付きとは思うが、(5)の「$${\Leftrightarrow}$$」の右側の式について、上記同様に右辺を左辺に移項して因数分解した形にして検討する事を考え付くと良い。以下にそれを行う。

$$
a^{3} + b^{3} + c^{3} - 3abc  =  0     \cdots(6)
$$

 左辺を因数分解して書き改めると、

$$
( a + b + c )( a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca ) = 0     \cdots(7)
$$

 (この因数分解も多分、恐らく、きっと、何時か、このマガジンの何処かで述べていた事と思う)

 よって(5)は次のように書き改める事が出来る。

$$
 a + b + c = 0  \Leftrightarrow  ( a + b + c )( a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca ) = 0     \cdots(8)
$$

 (8)について「$${ \Rightarrow }$$」が真であるのは自明であろう。では「$${ \Leftarrow }$$」はどうか? つまり、

$$
( a + b + c )( a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca ) = 0            \cdots(9)
$$

であるときに、必ず

$$
\begin{array}{ll}
a + b + c = 0     \cdots(10)
\end{array}
$$

であろうか?(10)の他の状況は無いのであろうか? もし、そのときに

$$
a + b + c \ne 0   \cdots(11)
$$

かつ

$$
a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca = 0   \cdots(12)
$$

の状況が有るとすると、(5)や(8)は偽となる。

$$
a + b + c = 0  \Leftarrow  ( a + b + c )( a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca ) = 0
$$

に対して反例があることになるからである。

これについて検討する必要がありそうだ。

ここで(12)式左辺を次の様に平方の和に整理できる事に気付くかもしれない。

$$
\begin{array}{ll}
& a^2 + b^2 + c^2 - ab - bc -ca \\ \\
=& \dfrac{1}{2} \{ 2a^2+ 2b^2 + 2c^2 - 2ab - 2bc - 2bc \} \\ \\
=& \dfrac{1}{2} \{ a^2 - 2ab + b^2 + b^2 - 2bc + c^2 + c^2 - 2ca + a^2 \} \\ \\
=& \dfrac{1}{2} \{ ( a - b )^2 + ( b - c )^2 + ( c - a )^2 \}        \cdots(13)
\end{array}
$$

 (12)の状況がある事が分かってしまった。「$${ a = b }$$ かつ $${ b = c }$$ かつ $${ c = a }$$」のとき、即ち、

$$
a = b = c
$$

 のときである。よって(5)及び(8)について、

$$
a + b + c = 0  \Rightarrow  a^{3} + b^{3} + c^{3} = 3abc
$$

は「真」だが、その逆である

$$
a + b + c = 0  \Leftarrow  a^{3} + b^{3} + c^{3} = 3abc
$$

は「偽」で、それは 「$${ a = b = c \ne 0 }$$」 のときであるという事になる。

 (「逆必ずしも真ならず」の状況である )

 故に、

$$
a + b + c = 0  \Leftrightarrow  a^{3} + b^{3} + c^{3} = 3abc   \cdots(5)
$$

は「偽」である。( 偽である為の )反例としては、「$${ a = b = c \ne 0  }$$ のとき」である。


3. 問題、その2の解答解説?

 先月公開した稿で「このまま地球温暖化が進むと、北海道に猛烈な台風が襲来するので、窓ガラスが暴風に破られないように窓には雨戸が必要だ」との旨を述べた。

 その後、食事の支度などしていると「そう言えばかつて、洞爺丸台風と云うのがあったようだ」と思い出した。

 洞爺丸台風の及ぼした被害の甚大さがきっかけで青函トンネル建設となったそうだ。また、当時の洞爺丸の状況の記載を三浦綾子著『氷点』に見つけたことは、私の印象に残っている。

 祖母が当時の様子を私に幾度か話してくれていたことも思い出す。

 夜、暴風が家の壁に猛烈に容赦なく吹き付けるなか、室内で畳を壁に押し当て、家族皆で風圧で壁が倒されそうになるのを支えて凌いだそうだ。

 停電の真っ暗闇の中、ダイナモ付きの自転車を一生懸命に漕いで明かりをとる中での事だったそうだ(ダイナモは駆動輪に取り付けてあったのだろう)。

 家族全員で命懸けで家を守り抜いたというその話を幾度か聞かせてもらったことは、私の祖母の思い出の一つである。

 勿論、暴風が窓を破らないように塞ぎ、そこも支えていたと思う。もし暴風が窓を破りそこから猛烈な風が勢いよく吹き込むようなことがあれば、その勢いで屋根が吹き飛んでしまっただろう。

 なので、先月書いた「北海道の住宅の窓に雨戸を」というのは冗談でも笑い話でも極論でも無いかもしれない

 もっとも今の家屋は建築基準法などの法整備もあってか、当時に比べると各段に災害に強いものになっているのだろうが。

 余談だが、積雪地の住宅は積雪、つまり上からの圧力、重量に耐えうるようにできていると思うが(地震の時などは、更にそれが揺れるのであるから、それにも耐えなければならぬ)、今後は窓が破られても、そこから吹き込む暴風で屋根が飛ばされぬように、天井や屋根の下からの風圧にも耐え得なければなるまい。

(いや、冗談で無く。吹き飛ばされた屋根にぶち当たって・・・というのも困る。やはり雨戸が必要か?)

 季節外れの記載で申し訳ない。と云うか、災害対策については年中考えてしまう今日この頃である。

 この「問題、その2の解答解説」については、PDF版では(断腸の思いで?)カットする予定です。最近、この部分だけまとめてマガジンにしようかと思案中です。


4. 今月の問題

 私の出題にお付き合い下さい。

問題、その1

 次の積分結果を(1)置換積分法、(2)部分積分法、(1)と(2)の2通りの方法で、導出過程も含めて求めよ。

$$
\int \sin{x}\cos{x}  dx
$$

問題、その2

 休憩しましょう。

(解答解説は次回に掲載予定です)


 次回は令和7年1月31日迄に掲載予定です。宜しくお願い致します。
  
 どうぞ、良いお年をお迎え下さい。私も良い年を迎えたく思います。


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(この部分はPDF版ではカットの予定です)


初稿 2024年 12月 19日

高校数学1ミリメートル
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